民は再び罪を犯した。主は預言者を遣わした
- デボラの死後、イスラエルは再び罪を犯した。
- 主は、彼らをミデアン人によって苦しめた。(7年間)士師6:1
ミデアン人は、アブラハムとケトラとの間にできた第4子の子孫たち
モーセはミデアンの祭司イテロのところに寄留した。彼らはイスラエルと友好的であった。
イスラエルがカナンに侵攻をはじめると次第に敵対的になり、モアブの王と協力してバラムにイスラエルを呪わせようとした。(民22:4) - ミデヤン人(ヨルダン川の東)、アマレク人(南)は、いなごの大軍のように突然やってきた。士師6:3-5
彼らのラクダの数は数えきれないほどだった。自分たちの家畜を持ってきて産物を食い荒らした。
彼らはイスラエル人のために何も残さなかった。収穫の時期にやってきた。 - イスラエル人は主に叫び求めた。士師6:6
- 神はひとりの預言者を彼らに遣わした。彼らがなぜ苦しめられているのかを知らせた。士師6:8-10
「わたしがあなた方の神、主である。しかし、あなたがたは、自分たちが住んでいる国のエモリ人の神を拝んでいる!!」
主は、ギデオンを立てる前に預言者によって、なぜ彼らが苦しんでいるのかを知らせた。
イスラエル人が他の神々を恐れて、主を捨てたために、敵に苦しめられていることを告げた。
主は、イスラエルの民が、士師ギデオンに協力して敵と戦うための備えをされたのだ。
他の士師たちのときにはない事例。このことは意味深い。
主の使いがギデオンに現れた 主は彼を士師として立てた
- 主の使いがヨアシュの子ギデオンに現れた。士師6:11-12
主の使いがオフラにある樫の木の下に座った。その時ギデオンは酒ぶねの中で小麦を打っていた。
ギデオンの臆病な様子がわかる。 - 主の使いは「イスラエル人をミデヤン人から救え」「主がともにおられる」と言った。士師6:13-
- 主は自分たちを捨てたのではないか。事実、ミデアン人から救ってくれていないではないか。
- ギデオンは自分にはできないと言った。「私の分団はマナセでも最も弱く、私は末っ子である」
- ギデオンは、このことが主の命令であることを証明する「しるし」を求めた。
- 主は彼の願いを聞き入れ「しるし」を与えた。
主の使いが、食事に杖をのばすと、食べ物は煙となり、主の使いは見えなくなった。
- 主は彼の願いを聞き入れ「しるし」を与えた。
- その夜、主は、ギデオンに「バアルの祭壇を壊し、アシュラ像を倒せ。アシュラ像の木で全焼のいけにえをささげよ」と命じた。ギデオンの父が主に立ち返った。
ギデオンは、家の者や町の人を恐れて夜にそれを行った。
翌朝早く、このことは、町の人々に知れ渡った。人々はギデオンの父ヨアシュにを責めた。
しかし、ヨアシュはギデオンを擁護した。ギデオンの父は、このとき主に立ち返った。
町の人々はヨアシュに言った。「あなたの息子を引張り出して殺しなさい。あれはバアルの祭壇を取りこわし、そばにあったアシェラ像も切り倒したの だ」
すると、ヨアシュは自分に向かって立っているすべての者に言った。「あなたがたは、バアルのために争っているのか。それとも、彼を救おうとするのか。バア ルのために争う者は、朝までに殺されてしまう。もしバアルが神であるなら、自分の祭壇が取りこわされたのだから、自分で争えばよいの だ。」士師6:30-31
ギデオンはミデヤン軍と戦うため民を招集した
- 主の霊がギデオンをおおった。彼は角笛を吹き鳴らし兵を集めた。士師6:34
- アビエゼル人、マナセ、アシュル、ゼブルン、ナフタリに使者を送った。彼らは上ってきた。士師6:35
- 攻撃の前夜、ギデオンは主に2度「しるし」を求めた。
- 主はギデオンに答え「しるし」を与えられた。
翌朝、羊の毛の上だけに露があるようになる。 その夜、土が濡れ羊の毛だけが乾いた状態になる。
- 主はギデオンに答え「しるし」を与えられた。
ギデオン軍はミデヤン軍の戦いに大勝利した
- ギデオンたちはハロデの泉に、ミデヤン人はモレの山沿いに陣をしいた。士師7:1
ギデオンの軍は3万2千人いた。 - 主はギデオンの兵士を300人まで減らした。士師7:2-7
その理由は、戦いの勝利は主によってもたらされたことを、イスラエルが知るためであった。そのとき、主はギデオンに仰せられた。「あなたといっしょにいる民は多すぎるから、わたしはミデヤン人を彼らの手に渡さない。イスラエルが『自分の手で自 分を救った。』と言って、わたしに向かって誇るといけないから。士師7:2- 「恐れおのののく者は帰りなさい」と告げると、1万人が去った。士師7:3
- 水のところに連れて行き、手で水をなめた300人を残して、残りは去らせた。士師7:4-7
犬がなめるように舌で水を飲んだ者、ひざをついて飲んだ者を主は送り返した。
- その夜、ギデオンはミデヤンの陣営に下って行った。
主は、ギデオンが恐れるなら、陣営に下っていって彼らの話を聞け」と言われた。士師7:10-15
ミデヤン軍はおびただしい数であった。敵の兵士は、神がギデオンいに味方して、彼らを倒す夢を見ていた。このことに勇気を得て、ギデオンは立ち上がった。 - 300人を3隊に分け、全員に角笛とからのつぼを持たせ、つぼの中にたいまつを入れさせた。士師7:16
3隊を配置につけ、一気に角笛を吹き、たいまつを掲げて「主の剣、ギデオンの剣だ」と叫んだ。士師7:21 - 敵は、大声をあげて逃げた。主は彼らが同士討ちをするようにされた。士師7:22
- ギデオンは敵を追った。エフライムに使者送り、ヨルダン川を取るように言った。士師7:24,25
エフライムはミデヤンのふたりの首長オレブとゼエブを捕らえて殺した。
そして、ヨルダンの西にいたギデオンに2人の首を持ってきた
大勝利の後のギデオン
- エフライム人が、自分たちを呼ばなかったことで、ギデオンを非難した。士師8:1-3
ギデオンは彼らの功績は自分よりも優れていると話し、彼らの怒りを治めることに成功した。 - ギデオンたち300人は、さらにミデヤン人王ゼバブとツェルムナを追った。
その折、スコテとペヌエルに食料の補給を頼んだが断られた。士師8:4-9 - ミデヤンの王たちはカルコルにいた。1万5千の兵が共にいた。すでに12万人が戦死していた。
ギデオンは彼らを攻めて、王2人を生け捕りにした。士師8:10-12 - 帰り道、スコテの長老たちを捕らえて恥をかかせ、ペヌエルのやぐらをこわし、町の人々を殺した。士師8:13-17
- ギデオンは、長男エテルに王たちを殺すように指示したが、長男はできなかった。士師8:19-20
ギデオン達と彼らは遠い親戚関係であったので、神の怒りを恐れた。そこでギデオンが彼らを殺した。 - イスラエル人はギデオンに自分たちを治めてほしいと願ったが、ギデオンは断った。士師8:22-23
イスラエルを治めるのは、主だからだ。
ギデオンは彼らに答えた。「わたしはあなたたちを治めない。息子もあなたたちを治めない。
主があなたたちを治められる。」士師8:23
- ミデヤン人は2度と攻めてこなかった。国は40年間平和であった。士師8:28
ギデオンの堕落
- 分捕り物の金を要求した。士師8:24-26
殺された者たちの装飾品をもらった。金の目方は千七百シェケルだった。士師8:24-26 - ギデオンは、その金でエポデを作り、オフラに置いた。士師8:27
ギデオンは神に罪を犯した。自分がエポでを着て祭司となり、神に伺った。
ギデオンはそれをもって一つのエポデを作り、それを自分の町オフラに置いた。イスラエルは皆それを慕って姦淫をおこなった。それはギデオンとその家にとっ て、わなとなった。士師8:27
- 大ぜいの妻を持ち、息子70人の子供を作った。士師8:30
- ギデオンは長寿を全うして死んだ。士師8:32
アビメレクの母の一族シェケム人が加担し、アビメレクを王とした
- ギデオンが死ぬとすぐ、民は再びバアルを拝んだ。士師記8:33
- シェケムにいたギデオンのそばめが男子を産んでいた。
ギデオンはその子をアビメレクと名付けた。士師8:31 - アビメレクは、母の一族全員に、自分をギデオンの跡継ぎにしないかと持ちかけた。
シェケムの人たちはこの提案に心動かされ、アビメレクに銀70シェケルを与えた。
それでアビメレクはごろつきを雇った。士師9:1-4 - アビメレクたちは、オフラにある父の家に行き、ギデオンの息子たち70人を1つの石の上で殺した。
末子ヨタムは隠れていたので生き残った。士師9:5 - シェケムの人たちは、アビメレクを王とした。士師9:6
ギデオンの末子ヨタムは彼らをのろった。ヨタムはベエルに行って住んだ。士師9:7-21
アビメレクとシェケムの人々が争う
- 主は、アビメレクとシェケムの者たちが争うように仕向けた。士師9:23
神は、アビメレクとシェケムの者たちの間に悪霊を送ったので、
シェケムの者たちはアビメレクを裏切った。士師9:23 - シェケムの人々は、エベデの子をガアルを信用し、自分たちのリーダとした。士師9:26-29
ガアルは、「シェケムの人はシェケムの父ハモルに仕えるべきだ。なぜギデオンのそばめの子アビメレクに仕えなければならないのか。軍勢をふやして彼を追い出そう。」と言った。 - ガアルのうわさを聞いた町の役人ゼブルは怒り、アビメレクに報告した。士師9:30-33
アビメレクに、翌朝ガアルに奇襲を仕掛けるように言った。 - アビメレクとガアルは戦った。
アビメレクは町の外から、ガアルはシェケム人を率いて町の中から出陣した。 - アビメレクが勝ち、シェケムの町を焼いた。
さらに、シェケムのやぐらの者たちがベリテの宮の地下室に隠れていることを知って、
地下室を焼き、男女1千人を殺した。士師9:39-49 - アビメレクは女が投げたひきうすで頭を砕かれて死んだ。
アビメレクはテベツも攻めた。1つのやぐらを焼こうとしたとき、ひとりの女がひきうすをアビメレクの頭に投げつけた。彼の頭骸骨を砕いたので、彼は死んだ。こうして神は、アビメレクが彼の兄弟七十人を殺して、その父に行なった悪を、彼に報いられた。
神はシェケムの人々のすべての悪を彼らの頭上に報いられた。こうしてエルバアルの子ヨタムののろいが彼らに実現した。士師9:56,57
考察1:主は、主を礼拝させるために弱い者を用いて、力ある者をやっつける。勝利にあって、ますます主を誇り主に従うことが大切だと学んだ。
主は、マナセの中でも小さな部族、しかも一族の末子を選んで士師とした。
また神は、3万2千集まった兵を、300人にまで縮小された。
しかも彼らは、戦車や槍、剣をいっさい使わないで戦いに勝った。
彼らは、夜中に敵陣に近づき、角笛を吹いて、たいまつの火を掲げ「主の剣、ギデオンの剣だ」と叫んだだけであった。それに驚いた敵が逃げ出し相打ちが始まったことによって、彼らは戦いに勝利したのであった。
このように、主は弱い者、力のない者によって、強い人々を倒す。
その目的は、人の力や知恵によって勝ったのではなく、神によって勝利したことをイスラエルの民が知るためであった。この戦いを通して、主がイスラエルを守っておられることを知り、主の力は人間の想像を超えてはるかにすばらしいことをイスラエルの人々にわからせるためであった。
そして、彼らが偶像の神から離れ、主に信頼し主を拝むようになるためであった。
敵国の王を恐れるのではなく、天にいます王である主を恐れるためであった。
自分たちが小国で、敵が強大であっても、主が味方でいてくださるなら、国は不思議と守られる。
逆に、自国が強い兵力を備え、多くの兵をかかえていても、偶像を拝み主を怒らせているなら、
敵国が弱くても、時には1人の女にさえ、自分たちは打ち負かされることを教えるためであった。
事実、アビメレクは1人の女が投げた石うすに、頭を砕かれて死んだ。
主は私たちにも、ギデオンと同様な状況を与えることがある。自分の能力をはるかに超えた困難な仕事をしなければならないとか、強大な力に対抗しなければならない状況に我々を置く。そのようなとき私たちはギデオンの様に恐れる。しかし、主はご自身に信頼して1歩踏み出すようにと我々を励ます。
主が共にあって成功させてくださることを、ギデオンの時のように、しるしを与えて教えてくださる。
そして、私たちが信仰を持って、主に信頼して前進していくとき、主は助け人を与え知恵を与えて、私たちが責任を果たすことができるようにしてくださる。私たちは、主のすばらしさをさらに知り、ますます主を深く礼拝するようになる。
考察2:主は恐れるギデオンに何度もしるしを与えた。ギデオンを励ます主の寛容を見た。
どのような人も「欠けた器」。主の寛容が、全てを可能にしていることを忘れてはならない。
ギデオンは小心者であったようだ。ミデヤン人を恐れて酒船の中で小麦を踏んでいたことからもわかる。
彼は、主からの使命であることを確信するために、何度もしるしを要求した。
彼は、兵を集める前、出陣する前にしるしを要求した。主は忍耐づよく彼の要求に答えてしるしを与えられた。また、主のほうからもギデオンにしるしを与えておられる。
陣営に夜襲をかける時、主のほうからギデオンに「もしあなたが恐れているなら敵の兵隊が語ることを聞きなさい」と語られた。主は、敵兵に敗北する夢を見せて、ギデオンに彼らの夢の話を聞かせている。
また、主はギデオンを士師として立てる前に、イスラエルに預言者を遣わし、彼らの罪が原因でミデヤン人に苦しめられていることを知らせた。これは、彼らが士師が現れた時にただちに協力するための、お膳立てである。
主はギデオンに対して寛容に接しておられることがわかる。主の寛容が、恐れる小心者のギデオンが強いミデヤン軍を打つことを可能にした。主を信頼できず、疑うギデオンを主は励まし続けた。人々はギデオンを賞賛した。しかし、この戦いでは、ギデオンの功績はいっさいないことを私たちは知っている。
この戦いは、主が戦って勝利した戦いであった。ギデオンは用いるに適さない器に過ぎなかった。
主のいつくしみが全てを成したと言える。主は、いつくしみ深い。
私たちもギデオンと同じく、主を疑い、主からのしるしを求める者である。しかし、主は私たちに対し、寛容であって忍耐強く私たちを導いておられる。ときには厳しい戒めをもって私たちを教えられる。主からの救いをいただき、主に用いていただいていることを自分の功績の結果だと思ってはならない。私たちは、ギデオンと同様に、主の御用に用いるには適さない器であることを忘れてはならない。もし、主のために何かができたとしても、それは主の寛容がそのことを可能にしたことを忘れてはならない。
考察3:ミデヤン軍に大勝利したギデオンは堕落した。成功が堕落につながる。そうならないためには、主が人に思いを与えて実行させている事実を忘れないことである。
戦いに勝利したギデオンは、分捕り物の金を要求した。それでエポでを作った。作らせたエポデを着てレビ人ではないのに祭司の務めをした。彼の信仰は堕落していた。また、多くの妻をもち、多くの子ができた。彼は性的にも堕落していた。おそらく異邦人の女とも関係を持ったにちがいない。
ギデオンが犯した罪によって、彼の子孫たちが神のさばきを刈り取ることになった。
めかけの子アビメレクが王になろうとして、ギデオンの息子たちをヨタムを除いて皆殺しにした。
殺された息子たちの人数は、なんと70人。
主はアビメレクと彼に加担したシェケムの人々の罪をさばかないでおくことはなかった。
アビメレクが王となった後、アビメレクとシェケムの人々が敵対するように主は仕向けられたからである。
そのため彼らは互いに争い、アビメレクもしシェケムの人々も死んだ。シェケムの町は焼き払われた。
これは、主が、ヨタムののろいを実現するため、アビメレク、ギデオンの罪に罰を与えるためになされたことであった。
このように、主からの助けを得て、困難を逃れるとか、敵に大勝利した後に、堕落する人が多い。
勝利によっておごり高ぶり、周りの者らが、彼らを崇拝して彼らに特権を与えるからであろう。
このことから、人間の功績を誉めたたえ、人間を神のごとく崇拝することの危険を知ることができる。
どのような成功も勝利も主がその人に思いを起こさせ実行させておられることを、私たちクリスチャンは忘れてはならない。なぜなら、聖書がそうだと語っているからである。
神は、みこころのままに、あなたがたのうちに働いて志を立てさせ、事を行なわせてくださるのです。
ピリピ2:13
だから、どのような成功も成果も主に栄光を帰すべきである。私たちがそうするとき、勝利によって堕落することから、私たち自身を守ることができるのではないだろうか。