預言者たちは「メシヤ」の出現について預言した。民は「メシヤ」を待ち望んだ・
- イザヤ11:1 ダビデの家系、エッサイの子孫である
エッサイの根株から新芽が生え、その根から若枝が出て実を結ぶ。 - エレミヤ23:5 ダビデの家系から生まれる
見よ。その日が来る。――主の御告げ。――その日、わたしは、ダビデに一つの正しい若枝を起こす。彼は王となって治め、栄えて、この国に公義と正義を行なう。 - イザヤ7:14 処女から生まれる。男の子。「インマヌエル」と呼ばれる。
それゆえ、主みずから、あなたがたに一つのしるしを与えられる。見よ。処女がみごもっているそして男の子を産み、その名を『インマヌエル』と名づける。 - ミカ書5:2 ベツレヘムで生まれる
ベツレヘム・エフラテよ。あなたはユダの氏族の中で最も小さいものだが、あなたのうちから、わたしのために、イスラエルの支配者になる者が出る。その出る ことは、昔から、永遠の昔からの定めである。
その他、エルサレム入城(ロバに乗って) ザカリヤ9:9
十字架の預言 詩編22篇 など300以上のイエスについての預言が成就した。
イエスが生まれた時代背景
- ローマの支配下にあり、人々の生活は苦しかった。
イスラエル王国の繁栄―バビロニヤに占領される―バビロン捕囚―帰還―神殿の再建―ローマに占領された。 - ユダヤ人は「メシヤ」を待ち望んでいた。
彼らにとってのメシヤは、イスラエルの国を再建する強力な指導者。
イエスの誕生を喜んだ人たち
イエスが「メシヤ」だとすぐにわかって、大いに喜んだ。
- 東方の博士たち マタイ2章
星を見てメシヤに会いに来た。高価な贈り物を持って来た。(黄金、没薬、乳香) - 女預言者アンナス84歳 ルカ1:36~38
ひたすら宮に仕えていた老婆。
エルサレムの購いを待ち望む全ての人に、幼子のことを知らせた。ルカ2:36~38 - シメオン 敬虔な人、イスラエルが慰められることを待ち望んでいた。ルカ2:25~35
メシヤを見るまでは死なないお告げを受けていた。
イエスを見た瞬間に、幼子を抱き神をほめたたえた。
幼子が将来反対を受けること。そのことでマリヤが心を痛めることを預言した。
イエスの誕生を喜ばなかった人たち
イエスが「メシヤ」であることを否定し、殺そうとした。
- ヘロデ(ガリラヤ地方の国主)マタイ2:16
自分よりも、人々が尊敬し、従う存在があってはならない。
「メシヤ」の誕生を聞いて。当時の3歳以下の男子を全て殺した。 - ユダヤ教の指導者たち
自分たちにはモーセが指導者だ。律法を守ることで天国にいける。
イエスは自分を神だと名乗り、神を冒涜した。死刑に価すると考えた。 - 熱心党の人たち
政治によってイスラエルを再興する人がメシヤだ。イエスではない。
イエスはどのようにして生まれたか。ルカ1章26~38節
1、マリヤがみごもる前に、天使からお告げがあった。
- 救い主を産むことは光栄なこと。恐れてはならない。喜びなさい。
「おめでとう。恵まれた方。主があなたとともにおられます。」1:28
「こわがることはない、マリヤ、あなたは神から恵みを受けたのです。」1:30 - 生まれる子は男。イエスと名前をつけよ。
「あなたはみごもって男の子を産みます。その子をイエスと名づけなさい」1:31 - その子は神の子と呼ばれる。その子の王国は永遠に続く。
「その子はすぐれた者となり、いと高き方の子と呼ばれます。また、神である主は彼にその父ダビデの王位をお与えになります。彼はとこしえにヤコブの家を治め、その国は終わることがありません。」1:32,33
2、処女であるマリヤが聖霊によってみごもった。
- あなたは聖霊によってみごもる。生まれる子は神の子である。
「聖霊があなたの上に臨み、いと高き方の力があなたをおおいます。それゆえ、生まれる者は、聖なる者、神の子と呼ばれます。」1:35 - 神に不可能なことはない。
「どうしてそのようなことになりえましょう。私はまだ男の人を知りませんのに。」1:34
「ご覧なさい。あなたの親類のエリサベツも、あの年になって男の子を宿しています。不妊の女といわれていた人なのに、今はもう六か月です。神にとって不可能なことは一つもありません。」1:36,37
(親戚のエリザベツはヨハネを産んだ。ヨハネは、律法を守って天国に入ろうとしているユダヤ人に、イエスを信じることによる救いが必要だと知らせる働きをした。) - マリヤは、人々から誤解され、困難が起ることが予想された。しかし、マリヤは神の計画が実現しますようにと祈った。
「ほんとうに、私は主のはしためです。どうぞ、あなたのおことばどおりこの身になりますように。」1:38
3、結婚前に女が子を宿すことは、石打の刑に価した。婚約者ヨセフは、マリヤと破談することを決めた。
しかし、彼の夢に天使が夢で現れ、マリヤが産む子はメシヤだと告げた。マタイ1:18~25
(マタイ1章19~25節よりの引用)
しかし、天使がヨセフの夢に現れ、生まれてくる子は「メシヤ」だと告げた。
夫のヨセフは正しい人であって、彼女をさらし者にはしたくなかったので、内密に去らせようと決めた。彼がこのことを思い巡らしていたとき、主の使いが夢に現われて言った。
「ダビデの子ヨセフ。恐れないであなたの妻マリヤを迎えなさい。その胎に宿っている ものは聖霊によるのです。
マリヤは男の子を産みます。その名をイエスとつけなさい。この方こそ、ご自分の民をその罪から救ってくださる方です。」
このすべての出来事は、主が預言者を通して言われた事が成就するためであった。
「見よ、処女がみごもっている。そして男の子を産む。その名はインマヌエルと呼ばれる。」(訳すと、神は私たちとともにおられる、という意味である。)イザヤ7:14
ヨセフは眠りからさめ、主の使いに命じられたとおりにして、その妻を迎え入れ、
そして、子どもが生まれるまで彼女を知ることがなく、その子どもの名をイエスとつけた。
5、イエスは「ベツレヘム」で生まれた。預言が成就した。
- ヨセフたちはガリラヤに住んでいた。
マリヤの出産が近づいた時、住民登録の命令が下った。
彼らはヨセフの町ベツレヘムに行ったが、宿屋がいっぱいで家畜小屋で夜を過ごした。
その時マリヤが産気づき、男の子が生まれた。イエスのベットは飼い葉桶。布団はわらだった。 - 羊飼いたちがメシヤを見に来た。彼らは天使からお告げを受けた。
- 東方の博士たちが贈り物を携えて、やってきた。
イエスの誕生についての疑問
質問1 イエスはいつ生まれたか?
紀元前6―4年ごろ。 30歳で宣教を始められた。3年間宣教活動をして死んだ。
質問2 なぜ、ベツレヘムがヨセフにとっての住民登録の町なのか?
ヨセフはダビデの家系であった。住民登録は、本籍地で行う。ヨセフの父祖はベツレヘムに住んでいた。ヨセフは、エジプトから戻った後、ナザレに住んでいたが、本籍地のベツレヘムに行く必要があった。
質問3 なぜ神は、生まれてくる子に「イエス」という名をつけさせたのか?
「イエス」とは、「神は救う」と言う意味。もっと言うと、民を「罪から救う」という意味。
神は「イエス」と名づけるように指示した。
メシヤは、信じる者を救うための仲介者。ふさわしい名前であると言える。
質問4 なぜ「インマヌエル」と名をつけなかったのか?
主の使いは、ヨセフに夢で現れ、「マリヤが産もうとしている『イエス』こそ、イザヤが預言した。「インマヌエル」と呼ばれる男の子だ。『メシヤ』だ」と教えた。(マタイ1:21,22)
「インマヌエル」の名を引用することで、ヨセフにはこの子が「メシヤ」だと確信した。
メシヤには他にも、呼び名があった。これらはすべて、神の特性を現わしていた。
「不思議な助言者」「力ある神」「永遠の父」「平和の君」と呼ばれる。イザヤ9:6
だから、正しい質問は「なぜ『インマヌエル』と名付けなかったか」ではなく、
「なぜこれらの名前が選ばれなかったのか」と問うべきである。
質問5 イエスについて、「預言者たちを通して、彼はナザレ人と呼ばれる」と言われたことが成するためである。」とマタイ2章23節に書かれている。しかし、この預言は旧約聖書のどこにも書かれていない。どう理解したらいいのか?
預言者たちは、メシヤを「若枝」や「番人」と呼んだ。
ヘブル語 で、イザヤは「natzar」を使い、エゼキエルは「tzaphah」を使った。
「ナザレ人」はヘブライ語で「notzri」。これらの言葉は共通の子音が3つある。
つまり、イエスは預言者たちが「エッサイの若枝」とか、「主の番人」だとか呼んだメシヤだと言いたかったのではないか。
質問6 マリヤが選ばれたのはなぜか? マリヤの家系について知りたい。
マリヤは祭司の家系と親戚関係にあったようだ。(親戚エリザベツ、その祭司夫ザカリヤ)
新約聖書にはキリストについて2つの系図が書かれている。
マタイ1章は、ヨセフについての家系であり、ルカ3章に書かれた家系は、マリヤの側ではないかと思われている。すると、マリヤは、ダビデの子ソロモンの兄弟ナタンの子孫ということになる。
そうであるなら、父方の系図をたどっても、母方の系図をたどってもダビデの子孫であり、メシヤが生まれる資格があるということになる。
イエスの誕生についての考察
考察1 イエスは確かに神。神はイエスの誕生を計画されていた。
その証拠1 預言が成就して、イエスが生まれている。生まれる場所、家系、処女がみごもるなど
その証拠2 知らせていないのに、立場の違う、さまざまな人々が、イエスの誕生を祝うためにやってきた。
考察2 イエスは、完全に神であり、完全に人間である。イエスに罪はなかった。
だから、人の罪を許し、天国に入れる救い主の役目を果たすことができた。
イエスは、処女マリヤが聖霊によってみごもって誕生した。
イエスは、人間の父と母の間にできた子供ではない。
罪の性質は、父によって受け継がれていく。(アダムの罪が全人類を支配した。ローマ5:12~17
だから、イエスの父は神であるから、イエスに罪はなかった。イエスは完全に神であった。
しかし、マリヤの肉体を用いて生まれてきたので、イエスは完全に人間でもあった。
完全に神である方だからこそ、イエスの身代わりの死によって、信者の罪が完全に赦される。
完全に人間だからこそ、私たちの悲しみ、弱さ、痛みを知って、私たちのために取りなしをしてくださることができる。また、十字架にかかって、血を流して死ぬことができる。
イエスが、完全に神であり、人であることは非常に重要である。
このことは、イエスが処女から産まなければ不可能であった。
処女降誕はおとぎ話のように聞こえるが、これは本当に起きた事実である。
考察3 イエスが馬小屋で生まれた。神が究極まで低くなられた。
これは「どのように低い者でも神は救う」という私たちへのメッセージ。
イエスは、私たち罪人の側に立って、神にとりなしをしてくださる仲介者。
神は、罪人の弁護をする神の子イエスが生まれる場所を、家畜小屋にされた。
神が、人間を救うために、ここまでご自身を低くされたことに、驚きを覚える。
しかし、ここに私たちに対する、大切なメッセージがある。
そのメッセージとは、『神は、この世で一番低い所まで下られる。どのように低い身分の者であっても、神の救いが及ばないような魂はない』ということではないか。
イエスは、低い立場にあられたからこそ、一般の人たちがイエスと関わることができた。
人々はイエスの元に押し寄せた。病をいやしていただき、イエスのする奇跡を見た。
イエスから神の国について話を聞いた。イエスもまた、絶望的な状況にある人々の所に、自ら出かけていき、助けた。
その結果、罪人や主税人など当時の社会で無価値とされていた人たちが信仰に入った。
イエスは、私たちの弱さや苦しみを知った上で、私たちに憐れみを持つ方。
私たちを救うために、ご自身が低くなること、苦しめられることをいとわない方である。
そして、どのように低い身分、どのように罪深い者であっても、イエスが救うことができない魂はないのである。