祭司長たちがイエスを捕らえ、十字架刑につける。ルカによる福音書22章39節ー23章25節

最後の晩餐の後、イエスと弟子たちはオリーブ山に行った

それからイエスは出て、いつものようにオリーブ山に行かれ、弟子たちも従った。 いつもの場所に着いたとき、イエスは彼らに、「誘惑に陥らないように祈っていなさい。」と言われた。
そしてご自分は、弟子たちから石を投げて届くほどの所に離れて、ひざまずいて、こう祈られた。
父よ。みこころならば、この杯をわたしから取りのけてください。しかし、わたしの願いではなく、みこころのとおりにしてください。」すると、御使いが天からイエスに現われて、イエスを力づけた。
イエスは、苦しみもだえて、いよいよ切に祈られた。汗が血のしずくのように地に落ちた。ルカ22:39-44

  1. 過ぎ越しの食事の後、イエスと弟子たちはオリーブ山にあるゲッセマネの園で休んだ。
  2. 自分が死ぬ時が近づいたことを悟ったイエスは、父なる神に必死に祈った。
    しかし、弟子たちは疲れていたので眠りこけていた。

観察 イエスは3度心からに祈られた。祈りを通してご自分を犠牲にする心が定まった。マタイ26:37-42
わが父よ。できますならば、この杯をわたしから過ぎ去らせてください。しかし、わたし の願うようにではなく、あなたのみこころのように、なさってください。」マタイ26:39
イエスはできれば、死の苦しみを通らなくていいように、神の怒りの杯を飲ますに済みますようにと祈っている。それでも、主のみこころのようになることを願われた。

「わが父よ。どうしても飲まずには済まされぬ杯でしたら、どうぞみこころのとおりをなさってください。」マタイ26:42
神の怒りの杯を受ける覚悟はできた。主のみこころの通りになさってくださいと祈られた。
う一度同じことをくり返して三度目の祈りをされた。マタイ26:44

疑問:イエスは神なのに、なぜ死を目前にして苦しみもだえて祈られたのか。

  1. イエスが神であり人であったから。肉体の苦しみを予期された。
    イエスは神であるが、人として肉体を持たれたので死の苦しみを知っておられたから。
  2. 十字架での死は、罪に対する神の怒りを容赦なく受けることであったから。
    イエスには罪はなかった。だから罪の刑罰を受ける必要はない。
    しかし、イエスが救われる人たちの身代わりになって苦しみを受けなければ、ご自分に頼る人たちに救いを与えることができない。そのため、イエスは葛藤された。

ユダが、祭司長たちから送られた役人やしもべたちと来て、
イエスを捕らえた

イエスがまだ話をしておられるとき、群衆がやって来た。十二弟子のひとりで、ユダという者が、先頭に立っていた。ユダはイエスに口づけしようとして、みも とに近づいた。だが、イエスは彼に、「ユダ。口づけで、人の子を裏切ろうとするのか。」と言われた。ルカ22:47,48

  1. ユダはイエスが祈る場所を知っていた。
    彼は、食事の席から立って祭司長のところに行き、しもべたちを連れてゲッセマネにやって来た。
  2. 人々は剣や棒を持って、夜中にイエスを捕らえにやって来た。
  3. ユダは合図を決めていた。口づけする人がイエスだ。

イエスの回りにいた者たちは、事の成り行きを見て、「主よ。剣で打ちましょうか。」と言った。そしてそのうちのある者が、大祭司のしもべに撃ってかかり、その右の耳を切り落とした。するとイエスは、「やめなさい。それまで。」と言われた。そして、耳にさわって彼を直してやられた。ルカ22:49-51

  1. ペテロが大祭司のしもべの右の耳を切り落とした。ヨハネ18:15
    イエスは彼の耳にさわって直してやった。(神の奇跡)
  2. イエスはやってきた人びとに「あなたは誰を捜しているのか」と2度も聞かれた。
    彼らは「ナザレのイエス」だと言った
    イエスは、ヘブル語で「エゴー・エイミー」、私がそれだと答えられた。マタイ18:6
    これは主がモーセに言われた、神
    の名。出エジプト3:14
    しもべたちは、自分たちが神を殺すことになると思って恐れ、あとずさりした。

イエスは大祭司の庭に連れて行かれた
ペテロは3度もイエスを知らないと言ってしまう

彼らはイエスを捕え、引いて行って、大祭司の家に連れて来た。ペテロは、遠く離れてついて行った。ルカ22:54

  1. イエスは大祭司カヤパの邸宅の庭に連れて行かれた。
  2. ペテロや弟子の1人は、庭に入り遠くからイエスの様子をうかがった。
  3. ペテロは、3度もイエスを知らないと言ってしまった。そのときにわとりが鳴いた。
    イエスの預言通りであった。

    ・女中が「この人もイエスといっしょにいた」
    ・ほかの男が「あなたも仲間だ」
    ・近く立っている人が近寄ってきて「確かにあなたも仲間だ。言葉のなまりでわかる。ガリラヤ人だから」ペテロはのろいをかけて「そんな人は知らない」と言ってしまった。
    そのとき鶏が鳴いた。ペテロは外に出て泣いた。ルカ22:54-62, 全福音書に書かれている。

夜明けに議会が招集され、イエスを死刑にすることを決める

夜が明けると、民の長老会、それに祭司長、律法学者たちが、集まった。彼らはイエスを議会に連れ出し、こう言った。「あなたがキリストなら、そうだと言いなさい。」しかしイエスは言われた。「わたしが言っても、あなたがたは決して信じないでしょうし、わたしが尋ねても、あなたがたは決して答えないでしょう。しかし今から後、人の子は、神の大能の右の座に着きます。」
彼らはみなで言った。「ではあなたは神の子ですか。」すると、イエスは彼らに「あなたがたの言うとおり、わたしはそれです。」と言われた。すると彼らは「これでもまだ証人が必要でしょうか。私たち自身が彼の口から直接それを聞いたのだから。」と言った。ルカ22:66-71

  1. 祭司長たちは、イエスが「キリスト」「神の子」であるかどうか質問した。
  2. イエスは「そうだ。私は神の子、キリストだ」と答えられた。
  3. 議会の全員が、「神を冒涜した罪」でイエスを死刑にすることに同意した。
    彼らはイエスを神だと認めていなかった。だからイエスの返答は神を汚す言葉だった。
    自分たちが、神を殺すという大罪を犯していることに気づいていなかった。

ポイント:イエスが死刑にされた理由。
イエスがご自分を神と認めたから。

大祭司たちはイエスを総督ピラトの官邸に連れて行き、
イエスを死刑にするよう訴えた

ピラトは祭司長たちと指導者たちと民衆とを呼び集め、こう言った。「あなたがたは、この人を、民衆を惑わす者として、私のところに連れて来たけれども、私があなたがたの前で取り調べたところ、あなたがたが訴 えているような罪は別に何も見つかりません。 ヘロデとても同じです。彼は私たちにこの人を送り返しました。見なさい。この人は、死罪に当たることは、何一つしていません。だから私は、懲らしめたうえで、釈放します。」

  1. ピラトはイエスに罪を認めなかった。
    1. ねたみからイエスを引き渡したことに気づいていた。マルコ15:10
    2. ピラトはイエスに質問したがイエスに罪を認めなかった。ヨハネ118:35-37
      ピラト「あなたはユダヤ人の王か。何をしたのか。」
      イエス「わたしの国はこの世のものではない。」

      ピラト「それではあなたは王か」
      イエス「あなたの言うとおり私は王です。真理に属する者はみな、わたしに聞き従います。」
  2. ヘロデもイエスに死刑に当たる罪を認めなかった。
    イエスをばかにした上で、ピラトに送り返した。

ピラトはイエスを釈放しようと努力したが、
暴動を恐れてイエスに死刑を宣告した

しかし彼らは、声をそろえて叫んだ。「この人を除け。バラバを釈放しろ。」バラバとは、都に起こった暴動と人殺しのかどで、牢にはいっていた者である。ピラトは、イエスを釈放しようと思って、彼らに、もう一度呼びかけた。しかし、彼らは叫び続けて、「十字架だ。十字架につけろ。」と言った。しかしピラトは三度目に彼らにこう言った。「あの人がどんな悪いことをしたというのか。あの人には、死に当たる罪は、何も見つかりません。だから私は、懲 らしめたうえで、釈放します。」ところが、彼らはあくまで主張し続け、十字架につけるよう大声で要求した。そしてついにその声が勝った。ピラトは、彼らの要求どおりにすることを宣告した。すなわち、暴動と人殺しのかどで牢にはいっていた男を願いどおりに釈放し、イエスを彼らに引き渡して好きなようにさせた。

  1. ピラトはイエスを釈放しようとした。
    1. 裁判の席にいるとき、妻からイエスについて警告を受けていた。
      「あの人にかかわらないでください。夢であの人のことで苦しめられましたから。」マタイ27:19
    2. イエスが神だと認めたために引き渡されたことを聞いて恐れた
      「この人は自分を神の子としたのですから、律法によれば、死に当たります。」ヨハネ19:7
  2. 過ぎ越しの祭りには、人々が願う囚人がひとりだけ釈放されることになっていた。
    ピラトは、「バラバかイエスがどちらを釈放してほしいか」と群衆に聞いた。
    彼はねたみからイエスが引き出されたことを知っていたから、イエスが釈放される機会を与えようとした。
  3. 群衆は「イエスを十字架につけろ」と叫んだ。
    祭司長たちは群衆を扇動して、むしろバラバを釈放してほしいと言わせた。マルコ15:6-11
  4. ユダヤ人たちは、イエスを殺さなければカイザルに背くことになると、ピラトの政治的立場をおびやかして訴えた。
    ユダヤ人たちは激しく叫んで言った。「もしこの人を釈放するなら、あなたはカイザルの味方ではありません。自分を王とする者は、カイザルにそむくのです。」ピラトは言った「さあ、あなたがたの王です。」・・「あなたがたの王を私が十字架につけるのですか。」・・祭司長たちは言った「カイザルのほかには、私たちに王はありません。」ヨハネ19:12-15
  5. ピラトは群衆の声に負けて、イエスを十字架につけるために引き渡した。
    ピラトは暴動になりようなのを見て、群衆の前で水を取り寄せ手を洗って「この人の血について、私には責任はない」、「その人の血は、私たちや子供たちの上にかかってもよい」マタイ27:25

考察1 イエスは「神の子キリスト」であることを認めたために殺された。
大祭司たちはねたみからイエスを除き去った。

大祭司たちは、人々が自分たちを捨ててイエスに従うようになることを恐れた。
イエスは彼らの信仰を非難し、彼らと敵対していたから。

宗教学者たちは、イエスがした「奇跡」や「いやし」のことを見聞きしていたのですが、イエスを神の子だと認めませんでした。彼らは、イエスがどこに行っても人気があり、人々がイエスの話を熱心に聞いていることにねたみを覚えました。今も、過ぎ越しを祝うエルサレムで、たくさんの人々が毎日イエスのもとに集まっていました。このままでは自分たちの権威が保てないと彼らは不安になります。なぜならイエスは律法主義になっている彼らの信仰を否定し、彼らの偽善を指摘しました。このままでは、人々が自分たちを捨てて、イエスを宗教指導者として立てることになると彼らは恐れたのです。

大祭司たちは、イエスから「神の子」だという言葉を聞いた。それでイエスを殺した。

彼らはイエスに「あなたは神の子か」「キリストか」と核心に迫る質問をしました。
その質問に対してイエスは、何を隠すことなく真実を答えました。「わたしはそうです」
この答えは、彼らにとって好都合だったのです。神を冒涜する罪で全員が死刑に賛同しました。

イエスは神であった。イエスの証言は正しかった。
大祭司たちは神を十字架にかけて殺した。恐ろしい罪を犯した。

イエスが神だということで殺されたということは、私たちにとって大きな意味があります。
イエスはウソつきであれば、殺されたまま墓の中にいたはずです。
しかし、イエスはこの後、復活して弟子たちに現れ、天に昇って行かれました。
イエスがご自分について証言されたことは正しかったのです。イエスは神の子、キリストでした。
大祭司たちは、自分たちが神を殺すという恐ろしい罪を犯していたことに気がつきませんでした。

考察2 イエスは裁判の間、沈黙を守られた。
これは、十字架にまっすぐに向かわれるためであった。

イエスは、大祭司たちにご自分が神であると答えた以外は、議会で偽証を立てられても反論なさらず、質問されても何も答えられなかった。ただ、イエスを釈放しようとするピラトとの会話で「ご自分の国がこの世のものでないこと」、「真理のために来られ、真理を愛する者の王であること」、「ピラトですら、神からの権威が与えらえなければ、イエスに対して何もできないこと」を答えられただけでした。
これは、十字架にまっすぐに向かわれるためでした。話しても目の開かれない人々と、問答することを無駄だと思われたからでした。そのため、だまって罪びとの汚名を着けられ、十字架にかかられたのでした。

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