偽りの教えに惑わされるな
4:1 しかし、御霊が明らかに言われるように、後の時代になると、ある人たちは惑わす霊と悪霊の教えとに心を奪われ、信仰から離れるようになります。
4:2 それは、うそつきどもの偽善によるものです。彼らは良心が麻痺しており、
4:3 結婚することを禁じたり、食物を断つことを命じたりします。しかし食物は、信仰があり、真理を知っている人が感謝して受けるようにと、神が造られた物です。
4:4 神が造られた物はみな良い物で、感謝して受けるとき、捨てるべき物は何一つありません。
4:5 神のことばと祈りとによって、聖められるからです。
禁欲主義の教えに惑わされてはならない
後の時代になると、「偽りの教え」によってある人々は惑わされ、真理から離れるようになると、御霊は前もってパウロに啓示していました。(1)
その啓示通り、テモテが牧会するエペソの教会には、禁欲主義によって神に近づくことができると説く、偽教師たちが存在したようです。
彼らは、断食や、ある食べ物を避けることを勧め、結婚することを禁じました。しかし信者にとって、すべての食べ物は、肉体を維持するようにと、神が備えてくださったものです。すべてが聖く、避けるべきものはありません。
キリスト者は、すべての食べ物を感謝して食べることができるのです。(3、4、5)
禁欲を勧める教師達は「うそつき」です。2節
神が命じていないことをせよと人々に勧めるからです。
また、彼らは「偽善者」です。2節
禁欲ができる自分たちを、誇るからです。
彼らの様子は謙遜に見えますが、その心は自己義に満ちいて、高ぶって他者を見下しているからです。
さらに、彼らは「良心の麻痺した」冷酷な人間です。2節
「結婚を禁止する」ことが、人生を大いに狂わせ、苦しめることを知っていながら命令するからです。
正しい教えによって信徒を養いなさい
4:6これらのことを兄弟たちに教えるなら、あなたはキリスト・イエスのりっぱな奉仕者になります。信仰のことばと、あなたが従って来た教えのことばとによって養われるからです。
4;7俗悪な、年寄り女がするような空想話を避けなさい。むしろ、敬虔のために自分を鍛錬しなさい。
4:8肉体の鍛錬もいくらかは有益ですが、今のいのちと未来のいのちが約束されている敬虔は、すべてに有益です。
4:9このことばは、真実であり、そのまま受入れるに値することばです。
4:10私たちはそのために労し、また苦心しているのです。それは、すべての人々、ことに信じる人々の救い主である、生ける神に望みをおいているからです。
信徒達に正しい信仰を伝える努力をしなさい
偽りの教えを退けるために一番有効なことは、正しい教えを伝えることです。
ですから、テモテがパウロから聞いた福音、自分でもよく調べ、従ってきた正統的信仰を兄弟たちに教えるようにパウロは勧めます。
真理を教えることを通して、教会員だけではなく、牧者自身が霊的に養われ成長するからです。6節
また、教えるだけではなく、自分自身を聖く保つために鍛錬することです。7節
肉体を鍛えることは有益ですが、それよりも真理を知って、霊的な鍛錬を積むこと(真理を人生に適応し、神からの訓練を受けること)は、生きている間と死後の両方において有益です。8節
ですから、私たちは、正しい信仰から生じる「敬虔」を身につけることに一番関心を持ちましょう。8、9節
信者に「敬虔」を身につけさせるために、教師たちは労苦しているのです。10
私たちは、「信じた人々を救った神が、彼らの敬虔をつくりあげてくださる」との希望を持っているから、この仕事のために労苦することができるのです。10節
「敬虔」とは、正統的信仰から生じます。信仰を正しく信じ、人生に適応する生き方です。神の裁き、神の主権、神の愛を正しく知ること。
そして、神の教えを実践して生きることです。
良い行ないの実は、良い信仰からしか生まれません。
ですから、良い信仰を伝えて信者を育てることが、監督の一番重要な務めです。
聖書の朗読、教えること、勧めることに専念しなさい
4:11これらのことを命じ、教えなさい。
4:12年が若いからといって、だれにも軽く見られないようにしなさい。かえって、ことばにも、態度にも、愛にも、信仰にも、純潔にも信者の模範となりなさい。
4:13私が行くまで、聖書の朗読と勧めと教えとに専念しなさい。
4:14長老たちによる按手を受けたとき、預言によって与えられた、あなたのうちにある聖霊の賜物を軽んじてはいけません。
4:15これらの務めに心を砕き、しっかりとやりなさい。そうすれば、あなたの進歩はすべての人に明らかになるでしょう。
4:16自分自身にも、教える事にも、よく気をつけなさい。あくまでそれを続けなさい。そうすれば、自分自身をも、またあなたの教えを聞く人たちをも救うことになります。
聖書の朗読、教えること、勧めることに専念しなさい
(勧め:聖書から教えられることを人生に適応して実践するように勧めること)
聖書を朗読することが、牧師の務めとしてあげられています。(朗読)
信徒に聖書を読み聞かせること。このことが非常に重要であったのです。
当時は、聖書を持っている人は少数であったと思われます。
文字を読めない人も多かったのです。
ですから、牧師が聖書を読んで聞かせることが重要な務めでした。
それから、聖書に書かれたことの解き明かしがされました。(教え)
このことによって信徒たちは、神について教えられました。
教えられた真理を、生活に適応して実践するように勧めました。(勧め)
牧者は、皆の見本になるように努めました
牧師は正しい信仰の実践を勧めるだけではなく、気ままにふるまう者たちを戒めて、正しく行うように命じる権威を持つ者です。
教えることはできても、自分が教えたことを実践していない牧師に、信徒は従いません。ですから牧師は、信徒たちの模範となれるように、自分自身の生活にも、自分の教えの正当性にも、気をつけていなければなりません。(11、12,13)
そうすれば牧者としてのテモテの進歩を、教会の人が知るようになります。テモテは信徒たちを良く育てることができ、監督としての務めを立派に果たすことができるでしょう。15,16節
第1テモテ4章 考察
正しく信じるように、正しく行うように信徒たちを指導すること。
この一事に努めることが牧会者の仕事である。
私たちが、牧師に期待する事は何でしょうか。
- 信者、未信者を問わず人々の相談にのること。
- 病人を訪問して祈ること。
- 集会の計画(クリスマス会、夏のキャンプ)
しかし、これらは本来執事の仕事です。
執事の仕事は、訪問や実際的な助け、人々の相談にのることです。
しかし多くの教会では、牧師がこれらの仕事を中心となって行っています。
執事の仕事を牧師が担当することから生じる問題
- 牧師が忙しくなりすぎてしまう。精神や肉体に不調をきたす。
- 学びの時間が十分に持てない。 牧師が神学する時間がない。
- 説教のための準備に追われるだけになってしまう。
自分自身の信仰を吟味し、探求するゆとりがない。
では、牧師の仕事とは本来何なのでしょうか。
- 牧師の仕事は、正しいみことばの解釈をし、
正しい信仰を、信徒たちに教えること。
自分自身にも、教える事にも、よく気をつけなさい。あくまでそれを続けなさい。16節
それには、牧師が聖霊によって教えられていなければならない。 - そこから明らかになる真理を信徒たちが実践するように勧めること。
聖書の朗読と勧めと教えとに専念しなさい。13節 - 自分が模範になり、神に従う歩みをすること。
ことばにも、態度にも、愛にも、信仰にも、純潔にも信者の模範となりなさい。12節 - 真理に従わない人を戒めること。
- 教会を、間違った教えから守ること。
牧師が本来の務めを良く果たすことで得られる恵み
- 救われる人が起こされる。
- 信じた人が、霊的に養われ、正しい歩みができる。
4:16自分自身にも、教える事にも、よく気をつけなさい。あくまでそれを続けなさい。そうすれば、自分自身をも、またあなたの教えを聞く人たちをも救うことになります。
4:6これらのことを兄弟たちに教えるなら、あなたはキリスト・イエスのりっぱな奉仕者になります。信仰のことばと、あなたが従って来た教えのことばとによって養われるからです。
- 牧師の信仰が成長する。
4:15これらの務めに心を砕き、しっかりとやりなさい。そうすれば、あなたの進歩はすべての人に明らかになるでしょう。
「敬虔」とは?
正しい信仰からのみ生じるもの。偽ものの信仰からは生まれない。
真理に従う生き方のこと。
時には、時代がゆるすことを、罪だとして行わない生き方。
信徒たちに「敬虔」を身に着けさせることは、大変な仕事しかし、牧師たちは彼らを召した神に望みをおいているから、困難であっても働き続けることができるのだ。
「信徒たちを信仰に導いた神が、彼らを聖潔に歩ませ、完成させてくださる」
この望みがあるからこそ、牧師は、忍耐を持って、希望をもって、信徒たちを指導をすることができるのだとパウロは告白しています。
4:10私たちはそのために労し、また苦心しているのです。それは、すべての人々、ことに信じる人々の救い主である、生ける神に望みをおいているからです。
私たちも、信者とされた人たちを救った神に期待して、彼らを教え、勧めをしていきたいものです。