「ダビデの生涯3」イスラエルの王になるが多くの苦悩を経験した

目次

1 サウルの死後、ユダの王になる。アブネルが和平を申し出る。2サムエル2章

  1. ユダの人々はヘブロンでダビデに油を注ぎ王にした。2:1~4
  2. サウルの死後、叔父アブネルが力を持つようになる。
    彼は、サウルのそばめリッパと寝た。それをサウルの息子にとがめられ怒った。
  3. ダビデが優勢と見た彼は、ダビデと和平を結ぶことを申し出る。ダビデは承諾した。

1-1考察 アブネルは野心家。しかし時代を読む賢さがあった。彼はダビデについた。

彼は、サウルのそばめリッパと寝る。そのことをサウルの息子にとがめられて怒った。
王のそばめと寝ることは、王位を継ごうとする思いがあることを意味する。
彼は野心家であった。しかし、時節を見分ける聡明さも持ち合わせていた。
彼は、ダビデが圧倒的に有利だと彼は判断した。
そこで彼はサウル側について、ダビデと戦うのではなく、ダビデに協力して、生き延びようと考えた。
1、アブネルは、ミカルを帰すこと、イスラエルを説得することを約束する。
3、ダビデはアブネルを軍団の長にすると約束した。

  1. しかし、ダビデに会いに来たアブネルを、帰り道でヨアブが殺した。
    アブネルはヨアブの弟アサエルを殺した。その復讐のために殺した。
  2. サウルの息子イシュボシェテが暗殺される
    サウルの家来たちが王を王宮内で暗殺した。

1-2考察 ヨアブがアブネルを殺した。これはヨアブの不当な復讐であった。

アブネルは、サウルの叔父ネルの子。サウルのいとこ。司令官を務めた人。

1、ギブオンでの戦いでアブネルはアサエルを殺した。しかし彼に殺意はなかった。

ギブオンで、ヨアブと彼の家来たち、アブネルと家来たちが偶然に出会った。2サム2:12

それぞれ12人が順番に出て1対1で戦った。戦いは互角であった。その後戦いは激しさを増した。アブネルたちサウル軍は、打ち負かされた。ヨアブの弟アサエルは足が速く、アブネルを追った。
アブネルはアサエルに、「追うのはやめよ」と何度も言った。アブネルはアサエルを殺したくなかった。アサエルの兄ヨアブとアブネルはサウルの指揮下で、共に戦った戦友だったから。

アブネルは、槍の石突きをアサエルに向けて、彼を止めようとしたと思われる。
槍の石突きは、刃ではなく、木の部分。先が丸い。アブネルには殺意はなかったのではないか。

それでもアサエルが猛スピードで突進してきたので、やむなく石突きの側で、アサエルの腹を突いたのではないか。

「私を追うのははやめて、ほかへ行け。なんでおまえを血に打ち倒すことができよう
どうして、おまえの兄弟ヨアブに顔向けができよう。」2サム22:22 

2、アサエルの殺害は戦闘において起きた。ヨアブは復讐してはならなかった。

ヨアブがアブネルに復讐したことは、不当であった。

3、ヨアブはヘブロンでアブネルを殺した。これは律法に違反する行為。

アブネルはヘブロンで殺された。ヘブロンは逃れの町。
殺人者の身の安全を、裁判での判決が決まるまでの間、守る町であった。
ヨアブはこのことでも違反を犯している。

4、アブネル殺害は王の意志に反していた。これにより、王の立場は悪くなった。

ダビデはアブネルと協力して、イスラエルを治めるつもりだった。
アブネル殺害によって、王は全イスラエルから反感を買うことになった。
王は、アブネルのために喪に服し、アブネル殺害が自分の意に反していたことを、民にアピールなければならなかった。                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                            

2 イスラエル全土の王になる(33年) 2サム5章

  1. イシュボシェテの死後、人々はダビデを王にした。
  2. ヨナタンの子イシュボシュテに恵みを施す
    サウルの所有地を相続させる。ダビデへの貢ぎ物を免除。王と一緒に食事した。
  3. 周辺の国々を占領 2サム8,10章
    モアブをしもべにする。アラムの2万2千人を打つ。アモンに大勝利。
  4. ウリヤの妻バテシェバと姦淫の罪を犯す
    水浴をするバテシェバを見て、彼女と寝た。

    バテシェバは身ごもった。そこで、夫ウリヤを戦場から呼び寄せ妻と寝るようにしむけた。
    ウリヤが家に入ることを拒んだので、彼を最前線に送り戦死させた。
    このことを預言者ナタンに指摘され、ダビデは悔い改めた。バテシェバが身ごもった子は死んだ。

2-1考察 ダビデはバテシェバとのことで、姦淫と殺人の罪を犯した。
彼は神にゆるされた。しかし、その後の人生で自分の罪の刈り取りに苦しんだ。
このことから、旧約と新約時代の「罪のあがないの違い」について考える。

旧約時代は、罪のゆるしは完全ではなかった。信仰者は、神にゆるしの言葉をもらっていても、犯した罪の精算をしなければならなかった。そのためダビデは、アブシャロムの問題に苦しんだ。

時代が移り、キリストによる「罪の赦しの契約」が成立すると、主を信じた者の罪は、過去、現在、未来すべて完全にゆるされるようになった。信者はもはや過去の罪の精算に苦しむ必要はなくなった。

その証拠として、パウロをあげることができる。彼は、信仰に入る前、多くのキリスト者を迫害し殺した。
しかし、聖書には彼の過去の罪を神が責めておられる記述は見当たらない。

パウロ自身も、「自分は知らないでしたので、ゆるされた」と告白している。
彼は、キリスト者となってから多くの困難を経験した。しかし、それらは彼の罪のための精算ではなかった。
それらは福音宣教のために、神が彼に経験させたものであった。

このことは、私たちにとって非常に良いニュースです。
私たちは多くの過ちを犯すからです。ときには取り返しのつかない罪さえ犯してしまう。

しかし、主は、信仰に入る者の過去を一切とがめることなく、新しく出発させてくださる。
私たちの過去がどうであれ、清い良心を持って、主の前に歩むことができるようにしてくれる。
神を「アバ父」と親しく呼んで、神に大胆に願うこことができるようにしてくれた。

神に愛されるに価しない自分を、それにもかかわらず目を留め、守り導いてくださる、驚くべきめぐみに、心から感謝の念が絶えない。新約時代に生かされていることは感謝です。

3 息子アブシャロムの反抗 2サム12章~

  1. はじまり アムノンがタマルを犯し放置した
    長男アムノンが次男アブシャロムの妹タマルを好きになる。

    アムノンは無理矢理タマルと寝た。その後、彼女が嫌いになり結婚しなかった。
    アブシャロムは、兄へのうらみ心を秘めて、誰にも相談しなかった。
    2年後、羊の毛を刈る祝いの時、酒によったアムノンを兄弟達の前で殺す。
    アブシャロムはゲシュル人アミフデの子タルマイのところに逃げた。(3年間)
  2. ヨアブがアブシャロムを呼び寄せた 14章
    王がアブシャロムに敵意を持っていることを、ヨアブは気づく。

    そして、アブシャロムを戻すことを王に提案する。
    アブシャロムは戻ったが、王は会わなかった。アブシャロムは、2年間も幽閉されていた。
    ヨアブも、自分が呼び戻しておきながら、王に取りなす努力をしなかった。
    アブシャロムはヨアブの畑に火をつけ、ヨアブを来させる。父との面会を頼む。
    王はアブシャロムを呼び寄せ口づけした。アブシャロムは外出できるようになった。
  3. アブシャロムは父への謀反の準備を進めた 15章
    町の人々の心を自分になびかせた。(4年間実行)15:2~
    朝早く門に通じる道に立って、さばきのために王に訴えに来た人々に、

    「あなたの訴えは正しい、わたしならあなたの力になれる」と話した。
    自分のために戦車と馬、自分に仕える兵士50人を手に入れた。15:1
  4. アブシャロムの決起
    200人の人を連れてヘブロンに行き「アブシャロムが王になった」と宣言した。15:8

    そのとき、ギロ人アヒトフェルをギロの町から呼び寄せた。15:12
  5. ダビデは、そばめ10人をエルサレムに残して王宮を出た 15:14~
    王の家来、ケレテ人、パレス人、ガテ人(外国人)が王について一緒に出た。15:16
  6. アモイ人フシャイをアブシャロムの元に送り込む。15:32
    アヒトフェルの助言を打ちこわすために、彼をスパイとして送り込んだ。

    「聞いたことを、祭司ツァドクとエブヤタルに告げ、私に知らせてほしい」とダビデは頼む。
  7. ヨナタンの息子メフィボシェテの裏切り
    メフィボシェテはエルサレムにとどまった。ダビデと一緒に逃げなかった。

    「きょう、主はわたしの父の王国を私に返してくれる」と言った。彼のしもツィバは王の逃亡を助けた。
  8. 途中、サウル一族の1人シムイがダビデをのろう。
    ダビデはのろわせておく。16:5~8
  9. アブシャロムはエルサレムに入城する。王のそばめのところに入る。
    アヒトフェルの助言により、王宮の屋上に天幕を張り、そこで王のそばめたちと寝た。
  10. 主は、アブシャロムが負けるように仕向けられた 17、18章
    アヒトフェルの作戦が否定され、フシャイの提案が通った。
    アヒトフェルの提案: 今夜、私が奇襲をかける。王だけを打ち取る。兵は私が説得する。

    フシャイの提案: 全軍を集めてダビデと戦う。アブシャロムが先頭に立って戦う。
  11. フシャイの提案が採用された。アブシャロムは全軍をあげてダビデと戦ったが、ダビデが勝利した。
    しかし、ダビデ軍が勝利する。アブシャロムは戦死した。18章

    ダビデは殺さないように指示していた。
    戦場で木に髪がひっかかったアブシャロムをヨアブが見つけ、心臓をついて殺した。ダビデは悲しんだ。
  12. ダビデは敵として戦った者を寛容に扱った。そのため民の信頼を得た。
    ユダの長老たちに罰を与えず、以前の職に就かせた。

    アブシャロムの軍団長アマサを、ダビデの総大将に任命した。
    ダビデを裏切ったメフィボシュテ(サウルの子)には、召使いツィバと領土を分けさせた。
    ダビデをのろったシムイが謝罪に来たが、殺さなかった。

3-1考察 困難なとき、ダビデは外国人に助けられた。

イスラエル人は、彼が逆境に立たされると、彼を見捨て、敵側についた。
ダビデが逃亡したとき、彼を助けたのは、多くの外国人だった。
イスラエル人は、サウルやアブシャロムに味方した。このことは興味深い。

イエスも同様であった。イスラエルは、イエスが悪霊につかれていると言った。
そして、イエスを十字架につけた。イエスを信じた者の多くは、その当時の社会から低く見なされていた者たちであった。罪人、女たち、異邦人たちであった。

3-2考察 アヒトフェルのすぐれたはかりごとが実行されなかった。これは、ダビデを勝たせるため、神がそう仕向けられたからであった。

アヒトフェルの計画はすぐれていた。逃げるダビデを今すぐ追いかけ、ダビデたけを打ち取ろうというのである。もし彼の計画が実行されていれば、ダビデは死んでいたであろう。
しかし、主は長老たちの心に働きかけて、ダビデが送り込んでいたフシャイの意見も聞くように仕向けられた。そして、フシャイは全軍を結集してダビデを打つほうが良いと提案した。

この提案を、アブシャロムは気に入ったと思う。
夜に、こっそりとダビデを打ち取るよりも、白日のもと、自分が先頭煮立ち全軍を率いて、ダビデを打つことのほうが、彼の誉れが高くなるから。この決断のおかげで、ダビデは時間が与えられた。
そして、ヨルダン側を渡り、マハナイムに入って、軍を立て直すことができた。

ここに神の摂理を見る。アブシャロムたちは神を意識することなく、自分の意志で自由に決断した。しかし、彼らの意志を導かれたのは、神であった。そして、神の計画に従って、アブシャロムが負けるように事が進んで行ったのである。

3-3考察 戦いの敗戦を確信して、自害したアヒトフェル。

自分の提案が退けられたことを見て、ア人フェエルは戦いに負けることを確信した。
負ける側に味方した戦略家の名誉は地に落ちる。彼はプライドの高い男だったのかもしれない。

戦いに負けて敵の手に落ちるくらいなら、今自らの手で命を絶とう。
それが自分の名誉を守るための、最後の手立てだと彼は考えた。
戦いの敗戦を予見していた証拠を残すことが、自分の卓越さを世に示すことになるからだ。

3-4考察 王の命令に反して、ヨアブはアブシャロムを殺した。これでよかったのか?

王は、父としての感情に動かされ、国のために正しい判断ができなかった。王は、ただ息子の命が助かることを求めた。

しかし、アブシャロムを生かしておけば、王国は再びに混乱することは明らかであった。
たとえ、アブシャロムが王になったとしても、彼には子がなかったので、彼亡き後は、後継者争いが起り、混乱の時代に入ったであろう。ヨアブが、アブシャロムを打ったことは、これで良かったのだ。 

3-5考察 アブシャロムについた者たちに対して寛容に扱ったダビデ。
自分の罪が引き起こした争いであると知っていたからであったと思う。

ダビデは敵であった者を寛容に扱った。彼らに罰を下さず、今までの仕事に就かせた。

メフィボシェテについても、領土を召し使いと分けさせるだけにとどめた。ダビデは同胞同士で殺し合い、憎み合うことを避けたかった。アブシャロム亡き後、残された者が協力して、前進していくことを望んだ。おそらく、この戦いが自分の罪にその原因があることを、ダビデは知っていたからであろう。

4 シェバの反乱、ヨアブがアマサを殺す 2サム20章

  1. ベニヤミン人ビクリの子シェバがダビデをのろう。すべてのイスラエル人は彼につく。
  2. アマサは、ユダの人々を3日のうちに招集すると言って出かけたが帰りが遅れた。
  3. ヨアブたちはシェバを追った。その途中、ギブオンの石のそばに来たとき、
    アマサが彼らの前にやってきた。アマサはヨアブに口づけしようとして近づいた。
  4. ヨアブは握手をすると見せかけて、アマサの下腹をついて殺した。
  5. シェバは城壁のある町に逃げ込んだ。(アベル・ベテ・マアカ)
    1人の女が彼を殺し、ツィバの首を投げ落とした。

5 ききんのことから始まったサウル一族の滅亡 2サム21章

  1. 3年間のききんがあった。主は次のように言われた。
    「サウルとその一族に、血を流した罪がある。彼がギブオン人たちを殺したからだ。」21:1
  2. ギブオン人に何をしてほしいのかと聞くと、
    彼らはサウルの7人の子をさらしものにすることを要求した。21:5,6
  3. サウルの子らは殺され、さらしものにされた。21:8,9
    アヤノ娘リッパが産んだ2人の子 アルモニとメフィボシェテ
  4. サウルの娘メラブがメホラ人アデリエルに産んだ5人が殺された。
  5. ヨナタンの子メフィボシェテは殺されなかった。
    (ダビデはヨナタンとの間で主に誓った誓いがあったからである。)
  6. このことにより、サウル一族は絶滅した。

5-1考察 神はききんを用いて、サウル一族を撲滅した

ダビデがイスラエルの王になった頃、サウル一の息子たちがいた。
サウルのめかけリッパの子の名前が、ヨナタンの子メフィボシェテと同じである。
いつか、王権を奪回しようと思っていたのかもしれない。

ダビデから恩恵を受けていたヨナタンの子メフィボシェテでさえ、アブシャロムに味方してダビデをうらぎった。
彼らは、ダビデの治世を脅かす存在であった。

ダビデは、サウルの息子達を殺すことはしない人である。
だから主が、彼の治世のはじめに、サウル一族を一掃された。
ダビデの治世が安定するためであった。

このように、主の配慮は詳細に渡る。ダビデがサウルの息子たちの危険に気づく前に、何の事件も起きていないとき、
神は危険を予知され、ダビデのために危険を取り除かれた。
ここに、ご自分の民を守られる、詳細にわたる神の愛の配慮を見る。

私たちも、神の守りの中にある。御力に守られ、生かされている事実に、感謝が尽きない。

6 再び主の怒りがイスラエルに下る 2サム24章

  1. 再び、イスラエルに対して主の怒りが燃え上がった。24:1
    主は「さあ、イスラエルとユダの人口を数えよ。」と言って、
    ダビデを動かして彼らに向かわせた。24:1
  2. ダビデは人口調査をした。家臣は反対した。必要ですか?ダビデは説き伏せた。
    人口調査の後、良心のとがめを感じた。
  3. 預言者ガドにより刑罰が宣告された。
    ①7年間のききん ②3ヶ月敵の前を逃げる ③3日間の疫病
    ダビデは③を選んだ。民7万人が死んだ。

6-1考察 人口調査でたくさんの民が死んだのはなぜか。

1、神がイスラエルの民を罰するため、彼らの不信仰を怒られたため。

王の罪ゆえに民に怒りが及んだのではない。
最初から神はイスラエルを怒っておられた。そして民を罰するためにこの事件を起こされた。

2、ダビデが、主に御心を求める初めの頃の態度を失いつつあった

ダビデは主の命令により人口調査をはじめていない。彼の心を主が動かし、彼は家臣に命令した。最初のころのように、エポデを着て主に伺わなくなっていた。彼は神に近い存在になりはじめていた。ここにも問題があった。

3,ダビデは人の手ではなく、主の手に落ちることを選んだ。主のあわれみに期待した。

彼は主のあわれみにより、刑罰が軽くされることを期待した。
「主の手に陥ることにしましょう。主のあわれみは深いからです。」2サム24:14

4、この神の怒りは、一方的な神の思い直しによって中止された。
主が、わざわいを下すことを思い直し、民を滅ぼそうとしている御使いに仰せられた。

「もう十分だ。あなたの手を引け。」2サム24:16

主のあわれみによって神罰は止んだ。王の祭儀によって静まったのではない。

なぜなら、主が神罰を止めることを決められ、預言者ガドをダビデに遣わして祭儀をするように指示を与えておられるから。「アラウナの打ち場で祭壇を築くこと」を命じられたから。
この場所をダビデは買わなければならなかった。神聖で重要な場所であるから。
これは、罪のゆるしが、主のあわれみにかかっていることを予見させる出来事である。

7 ダビデの後継者争い 1列王1章

  • ハギテの子アドニヤが王になろうとする(エン・ロゲルにて)
  • バテシェバはソロモンを王にするようにダビデに訴えた。
  • ダビデはソロモンを王として立てた。ソロモンに礼拝した。
    祭司ツァドク 預言者ナタン 軍団長エホヤダの子ベナヤと一緒にギホンに行かせた。
    そこでソロモンに油を注ぎ、ギホンからエルサレムに上らせた。民は歓迎した。

    王はソロモンを礼拝した。

7-1考察 王になろうとした4男アドニヤとソロモンの後継者争い。
人間の策略で王になることができない。主に選ばれた者だけがなる。

アドニヤの場合(主の御心に反して、人間的方法によって王になろうとしたが失敗した)

  1. アド二ヤは自分には王になる資格があると考えた。 
    自分は残された息子では一番年長、父に叱られたことがない、美男子
  2. アドニヤは王になる策略を立て、実行した。
    自分のための戦車と騎兵を得る。(威厳を持つため)
    ダビデの下で活躍があまりないヨアブと祭司エブヤタルを味方につける。
    (ヨアブはアブネルやアマサ殺しのため、ダビデと疎遠になっていた。)
  3. 兄弟すべて、王の家来のユダの人々すべて、ヨアブとエブヤタルを招き、
    いけにえを、ささげて「アドニヤ王ばんざい」と言わせた。

ソロモンの場合(主によって立てられ、民がそれを知って王として迎えた)

  1. ソロモンに、祭司によって油が注がれた(これは、ひそかになされた)
    ギホンの泉に行き、預言者ナタンと軍団長ベナヤの前で、祭司ツァドクが油を注いだ。
  2. 人々は、ソロモンに油注が注がれた事実を知って、ソロモンを自分たちの王として迎えた。
    ソロモンは王のラバに乗り、祭司と預言者を連れて王の所にのぼる。王はソロモンを礼拝した。
    これらすべての出来事を見て、主がソロモンを王にされたことを民は知った。

    そして、アドニヤから離れた。

7-2考察 人間的方法で王になろうとしたアドニヤの間違い

王は主が決める。人間が決めるのではない。
主が王として立てた者を、民が自分たちの王として迎える。これが、正しい方法。
サウルが王になったときもそうであった。
アドニヤは主の御心に反して、自分の願いで王になろうとした。

なぜなら、彼はダビデがソロモンを選んでいることを知っていたからである。
その証拠に、宴席に兄弟たちすべてを招いておきながら、ソロモンだけは呼んでいない。

ここに、彼の決定的な誤りがある。アドニヤは巧みに計画して実行したが、失敗した。

かえって王に反逆した罪で、命を狙われる立場になった。
これは、彼が主に逆らって、自分の願いを叶えようとしたからである。
ここから、人間はどんなに巧みに計画し実行したとしても、主の御心を変えることができないと知ることができる。

だから、あなたに対してなされる、どのように巧みな脅かしも、それが主の御心でなければ、
あなたを苦しめることはできないのだ。

私たちは、このことを知ることによって敵を必要以上に恐れることなく、勇気をもって、主の道に歩むことができるのではないでしょうか。

8 息子ソロモンへの遺言

  1. 主のおきてを守りなさい。そうすれば、あなたは繁栄する。
  2. ヨアブを殺せ。
  3. ギルアデ人張るジライの子らには恵みを施してくれ。
    ギルアデは逃亡中のダビデを助けた。
  4. ゲラの子シムイは殺せ。

8-1考察 ヨアブを殺せと遺言した。ヨアブの罪とは何か。

1、ヨアブは無実のアブネルを殺した。

ヨアブは、和平交渉を成立させ、安心して帰るアブネルを殺した。
ヨアブはアブネルとひそかに話すと見せかけ、門のとびらの内側に連れ込み、下腹を突いて殺した。

2、アマサの真意を確かめることなく殺した。彼が軍団長であることが気に入らなかった。

シェバの反抗のとき、兵を集めるために出て行ったアマサ。
ヨアブがシェバを追っているとき、ギブオンにある大きな石のそばで偶然アマサに会う。
アマサが安心して、彼に挨拶を交わそうと近づいて来たとき、ヨアブはアマサを刺し殺した。

ヨアブはアマサに良くない感情を持っていたのではないか。
ダビデの軍団長はヨアブだった。ところが、ダビデの恩赦により、敵に味方して戦ったアマサが軍団長になっていた。
ヨアブは退けられた思いがあったはずである。

アマサはなぜ軍の招集に時間がかかったのか。その理由はいくつか考えられる。

1、サウルの残党たちを説得できず、兵の招集に手間取っていた。

2、シェバに味方して、敵の兵を集めていた。

どちらにしても、ヨアブはアマサの真意を確かめることなく、彼を殺した。
戦闘においてではなく、アマサが安心してあいさつに来たところを、剣で突き殺した。ここにヨアブの罪がある。

3、幼い頃から一緒に育ったヨアブとアマサ。そのアマサをヨアブが殺した。本当に悲しい結末だ。

ヨアブとアマサはいとこ同士。ヨアブの母ツェルヤとアマサの母ビガイルは姉妹。

彼らの母ツェルヤとアビがイルはアモン人のナハシュの娘。

ツェルヤとアビがイルの母はナハシュとの間で娘たちを産んだ後、子供を連れてエッサイのそばめになった。

ヨアブとアマサは、アモン人の血が入っていた。だからエッサイの他の子供たちから見下されていたかもしれない。
同じ境遇で理解し合い励まし合っていたのではないか。2人の絆は深かったと思われる。
その2人が、権力闘争のため、殺し合うようになるとは、あまりにも悲しい結末である。

4、ヨアブはアドニヤに味方して、ソロモンを王位から退けようとした。

アマサのことで、王の信頼を失ったヨアブ。
自分が王に用いられないことを見て、アドニヤを王に立てる計画に賛同した。

彼は、ダビデのために大いに貢献したが、ダビデの息子ソロモンの王国を転覆させる危険人物になっていた。
だから、ダビデはソロモンに彼を生かしておいてはいけないと遺言を残した。

人間は、変わるもの。兄弟であっても殺し合うものだと痛感する。

8-2考察 「ダビデが神について悟ったこと」2サムエル7章23~28節より 

また、地上のどの国民があなたの民のよう、イスラエルのようでしょう。神ご自身が来られて、この民を贖い、これをご自身の民とし、これにご自身の名を置かれました。・・・こうして、あなたの民イスラエルをとこしえまでもあなたの民として立てられました。
主よ。あなたは彼らの神となられました。2サム7:23,24

1、 イスラエルの民に降りてきてくださり、民を救う方。

アブラハムが求めたのではなく、神がアブラハムを選び、彼を救われた。そして、彼の子孫の神になられた。

アブラハムたちが優れた民であったから、神が彼らを選んだのではない。
神の憐れみが一方的に彼らに臨んだからであった。
このような神が他にあろうかと、ダビデは驚嘆する。

ダビデも、ある日突然、油を注がれ、王としての歩みがはじまった。
これも主の一方的な憐れみによることであった。

キリストもまた、同じように、一方的な憐れみによって、わたしたちの神となってくださる。
キリストは神であられる方なのに、人間の罪をあがなう為に、地上に降りてきてくださった。

私を選び、聖霊を与えてくださった。私が優れていたからではない。事実私は神に反抗し続けていた。それにもかかわらず私が救われたのは、一方的な神の恵みが私におよんだからであった。
ダビデの告白と、私たちの告白は良く一致する。なぜなら、同じ神を経験しているから。
神の驚くべき憐れみに、感謝。

あなたは、ご自身の国のために、あなたの民の前で、大いなる恐るべきことを行ない、この民をあなたのためにエジプトから、 そして国々とその神々から贖ってくださいました。2サム7:23 

2、 イスラエルのために大いなることをなさる方

ダビデが告白した神は、民を救うために、実際に働かれる。

神は、数々の奇跡を行って、民をエジプトから救い出してくださった。
ダビデも、主の奇跡によって、サウルから命を救われ、王になることができた。

キリストも同様である。キリストは、御ことばを語るだけではなく、病に苦しむ人々をいやした。
罪のために死に定められた私たちを助けるため、十字架にかかられ、死んで復活された。

キリストは遠くから、私たちを励まし、心配してくださるだけの神ではない。
私たちの苦しみに同情し、私たちのためにご自身を犠牲にされる方である。
私たちのために、事を行ってくださる神である。

3、 イスラエルを敵の手から、偶像礼拝から解放してくださる方

エジプト人はイスラエル人を奴隷として利用した。
イスラエル人の希望は消え果てたように思われた。
ところが、主は彼らの悩みを知っておられ、主は立ち上がられた。

モーセを立てて、あっという間にエジプトの圧迫から、民を解放してくれた。
このように、主はご自分の民を敵の手から解放してくださる。
ダビデもサウルの手から解放された。
主は、ご自分の民を偶像礼拝から解放してくださる方でもある。

彼らをエジプトから脱出させ、エジプトの偶像との関わりを絶ち、
イスラエルの神だけを拝むようにされた。

今、神、主よ。あなたこそ神であられます。あなたのおことばはまことです。あなたは、このしもべに、この良いことを約束してくださいました。2サムエル7:28 

4, 神のことばは真実。神が語られたことは必ず実現する。神は、正しくウソをつかない。約束を守る方。

主のことばは、必ずその通りになる。主は昔も今も、将来も永遠に正しい。
主は約束を守る方。主の約束は実現したし、これからも実現する。

彼は、それが必ず起ることを喜び、与えられる前に、神に感謝した。

これが、ダビデが到達した信仰であった。

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「私と一緒に聖書を読んでみませんか?」

今から約2000年前、キリストは預言されていた通り、死んで3日後に復活し、ご自身が神であることを証明されました。神がおられるのですから、その方を無視して生きることは、神があなたを造られた目的を知らずに生きることを意味します。どうか、神を知り、神に生かされる確かな人生を歩んでください。そのために、聖書を学び、神について、自分について、知ることを始めませんか?