エペソ人への手紙 1章『救われた人は、天地創造の前から定められていた。神の最終目標は「天国」にご自分が集めた者たちを住まわせること。信者は、自分に与えられた測り知れない恵みを知りなさい。なぜなら、この知識は信者に大いに益になるから。』

<エペソ人への手紙1章 要約>

パウロは、救いが、天地創造の以前からの神の計画に従って与えられたことを証言します。
つまり、救いは、自分で獲得するものではなく、神から与えられるギフトであるということです。
神が人に救いを与える目的は、救いが与えられた人間ではなく、救いを与えた神がほめたたえられるためです。また、神が集めた信者たちで構成される教会を建て上げるためです。

<エペソ人への手紙1章 解釈>

 

Ⅰ 救いは、天地創造の以前からの神の計画による
神はあらかじめ目的をもって、ある人を救いに定めた

1:3 私たちの主イエス・キリストの父なる神がほめたたえられますように。神はキリストにおいて、天にあるすべての霊的祝福をもって私たちを祝福してくださいました。

Ⅰ―1救われた人は、神から祝福を受けた人。
パウロは、救われた人は神から祝福が与えられたと完了で語っています。救われた人は、すでに「霊的な祝福」を与えられているのです。「霊的祝福」とは、救いや永遠の命、天国を相続することなどです。
律法(行い)によっては決して得ることができなかったこれらの祝福を、神は与えてくださったのです。

1:4 すなわち、神は私たちを世界の基の置かれる前からキリストのうちに選び、御前で聖く、傷のない者にしようとされました。
1:5 神は、ただみこころのままに、私たちをイエス・キリストによってご自分の子にしようと、愛をもってあらかじめ定めておられたのです。

Ⅰ―2天地創造の以前から、救いに選ばれていた。
私たちの救いは神の計画によるものです。神はこの世界が造られる以前から、私たちを選んでおられました。救った人たちの罪をゆるし、神にさばかれない者として、天国に集めようと計画されたのです。
神はご自分の思いのままに、滅びゆく私たちを選び、愛の思いをもって救ってくださったのです。

1:6 それは、神がその愛する方によって私たちに与えてくださった恵みの栄光が、ほめたたえられるためです。
1:7 私たちは、この御子のうちにあって、御子の血による贖い、すなわち罪の赦しを受けているのです。これは神の豊かな恵みによることです。

Ⅰ―3なぜ神は、ある人々を救いに定めたのか。
それは「キリストによる救いのわざ」がほめたたえられるため。
神はなぜ、ある人々を救いに定められたのでしょうか。
それは、御子キリストによって成就した「救いの恵み」がほめたたえられるためです。

救いが与えられた人は、キリストの血による「罪のゆるし」にあずかります。
「罪のゆるし」は、神の一方的なあわれみによって与えられます。
ですから、救いの感謝と賛美は、神にのみに捧げられます。
神はこのようにしてご自身が栄光を受けられることを望まれたのです。

Ⅱ 神の最終的な計画とは何か
それは、キリストを王とする世界(天国)を造ること

1:8 神はこの恵みを私たちの上にあふれさせ、あらゆる知恵と思慮深さをもって、
1:9 みこころの奥義を私たちに知らせてくださいました。それは、神が御子においてあらかじめお立てになったご計画によることであって、
1:10 時がついに満ちて、この時のためのみこころが実行に移され、天にあるものも地にあるものも、いっさいのものが、キリストにあって一つに集められることなのです。

神は、ご自身が救った者たちに、神の奥義を知らせてくださいました。
神の計画は、すでに亡くなっている信者たち、また、生きている信者たちを1つに集めて、キリストが王である御国を造ることです。

1:11 私たちは彼にあって御国を受け継ぐ者ともなりました。私たちは、みこころによりご計画のままをみな行う方の目的に従って、このようにあらかじめ定められていたのです。
1:12
それは、前からキリストに望みをおいていた私たちが、神の栄光をほめたたえる者となるためです。

Ⅱ―2 パウロたちユダヤ人の救いを、神はあらかじめ定めておられた。
その目的は、待ち望んでいたメシヤの到来を知らせて、彼らが神の栄光をほめたたえる者となるため。
ユダヤ人であるパウロたちは、救われて天国を相続する者になりました。
このことは、全能なる神の計画により、神の目的を実現するために起こりました。
つまり、救われたユダヤ人は、神によってあらかじめ救いに定められていたのです。
そして、神は、あらかじめ目的を定めて人を救っておられるのです。
神がユダヤ人を救った目的は、彼らが待ち望んでいたメシヤが現れたことを、彼らが知って、神の栄光をほめたたえるためです。

1:13 またあなたがたも、キリストにあって、真理のことば、すなわちあなたがたの救いの福音を聞き、またそれを信じたことによって、約束の聖霊をもって証印を押されました。
1:14 聖霊は私たちが御国を受け継ぐことの保証であられます。これは神の民の贖いのためであり、神の栄光がほめたたえられるためです。

Ⅱ―3 異邦人の救いも、神はあらかじめ定めておられた。
その目的は、全ての民族から神をほめたたえる者を起こすため。
異邦人(ユダヤ人以外の外国人)たちは、キリストの十字架のあがないによって自分たちも救われるという知らせ(福音)を聞き、それを信じたことで聖霊を受けました。
聖霊は異邦人たちが救いを受けたことの保証です。
異邦人も神の民に加えられることを、神は、天地創造以前から定めておられました。
それは、ユダヤ人からだけではなく、すべての民族の中から、神をほめたたえる者を起こすためでした。

Ⅲ エペソ教会への助言
神を知る知識を増し加えなさい

1:15 こういうわけで、私は主イエスに対するあなたがたの信仰と、すべての聖徒に対する愛とを聞いて、
1:16 あなたがたのために絶えず感謝をささげ、あなたがたのことを覚えて祈っています。
1:17 どうか、私たちの主イエス・キリストの神、すなわち栄光の父が、神を知るための知恵と啓示の御霊を、あなたがたに与えてくださいますように。

Ⅲ―1 神を知りなさい。
パウロは、神の奥義を知るために、知恵と御霊の啓示が与えられるように祈る。
信者は、初歩の段階にとどまるべきではありません。他者を教えることができるまでに成長しなければなりません。そのためには神を正しく知らなければなりません。御霊が神を知る知恵と啓示を与えてくださいます。私たちは御霊に助けを祈りつつ、聖書を学ばなければなりません。

1:18 また、あなたがたの心の目がはっきり見えるようになって、神の召しによって与えられる望みがどのようなものか、聖徒の受け継ぐものがどのように栄光に富んだものか、

Ⅲ―2 神の恵みの素晴らしさを知りなさい。
エペソの信者たちが神を信じたことで、与えられた希望とは何でしょうか。
それは、天国で彼らが受け継ぐものです。それらがどれほど素晴らしいものかを、彼らがもっと知ることができるようにとパウロは祈ります。
パウロは天国を見た人です。天で与えられる信者の栄光を知っていました。
私たちは、将来与えられるものの素晴らしさを知っていることは重要です。
なぜなら、今、信仰のために受けている苦しみは、将来与えられるすばらしいものを得る過程であって、軽い苦労だと思えるようになるからです。

1:19 また、神の全能の力の働きによって私たち信じる者に働く神のすぐれた力がどのように偉大なものであるかを、あなたがたが知ることができますように。

Ⅲ―3 神の偉大な力を知りなさい。
神は偉大な力を持っておられます。その力の偉大さは、キリストをよみがえらせたほどです。しかし神の力はそれだけにとどまりません。その力は、キリストを王として、この世を滅ぼし、御国を来たらせます。
クリスチャンたちは、神の偉大な力を知る時、困難に立ち向かう勇気を得ることができます。
なぜなら、力ある方が自分の味方であり、自分を助けていてくださることを知ることができるからです。

1:20 神は、その全能の力をキリストのうちに働かせて、キリストを死者の中からよみがえらせ、
1:20
天上においてご自分の右の座に着かせて、
1:21 すべての支配、権威、権力、主権の上に、また、今の世ばかりでなく、次に来る世においてもとなえられる、すべての名の上に高く置かれました。
1:22 また、神は、いっさいのものをキリストの足の下に従わせ、いっさいのものの上に立つかしらであるキリストを、教会にお与えになりました。
1:23 教会はキリストのからだであり、いっさいのものをいっさいのものによって満たす方の満ちておられるところです。

Ⅲ―4キリストは、今の世と次に来る世を支配する「最高権威」です。
ですから、教会はキリストに従がって実践しなさい。
キリスの権威は、世のいかなる強力な支配者の権威よりも勝っています。
またキリストは、御国において最高の権威を持つお方です。

教会は、キリストを「かしら」とし、信者たちを体の各部分とする、神のために働くキリストの器官です。ですから、信者1人1人は、キリストに従って信仰生活を送らなければなりません。また教会は、キリストに従順に、御心を実現していかなければなりません。

<エペソ人への手紙1章 考察と適応> 

考察1 救われた人は、天地が造られる前から、神によって救いに定められていた。3-6、11

 考察1-1救われた人は「救い」は天地創造の以前から定められていた。

救われた人は、彼らが生まれる前から、神にそのように定められていました。
ですから、クリスチャンは救いの確信を持つことができます。
なぜなら、彼らの救いが、神の計画によって生じたからです。

また、救われた人には聖霊による内的な確信が与えられています。
彼らに信仰を生じさせた聖霊が、彼らの救いを、証明するからです。

考察1-2神に選ばれて救われたことを誇るのではなく、身にあまる光栄を受けたことを感謝し、謙遜になって、神に従順に歩まなければならない。

救われた人は、永遠の昔から神に救いを定められていました。
しかし、彼らは、神に選ばれて救われたことを誇る権利はありません。
神の選びは、人間の価値によって決められるのではないからです。
それは、神の一方的なあわれみによって決められるからです。

その神のあわれみが、あなたに与えられ、あなたは救われたからです。
ですから、クリスチャンには、選ばれたことを誇ることはゆるされません。
むしろ、救いを受けたことを身に余る光栄と知って、神に大いに感謝をささげるべきです。
そして、このことの当然な応答として、神に従順な生き方をするべきです。

考察1-3神はあらかじめ目的を定めて、あなたを救っておられる。
神はあなたを導き、あらかじめ定めた目的を実行させる。
私たちとしては、神に示されることを実行すれば良いだけなのだ。

その人が救われてからする「神のための良い行い」をも、その人が救われる前から、神はあらかじめ定めておられます。
神は、その時々に、なすべきことを知らせてくださいます。
ですから、信者は、ただ神の導きに従って、その時々に示されることをすればいいのです。
このことは、神のためにもっと働かなければならないと思う焦りや、できなかったことを後悔する思いから私たちを解放してくれます。

考察1―4救われた人の人生には、多くの困難がある。
しかし、神があなたと共にあり天国まで導いてくださる。
だから、迫害や困難の中にあっても、安心して神に信頼して歩もうではないか。

自分に与えられた救いが、天地創造以前からの定めであったことを知るなら、もはや恐れることは何もありません。
たとえ、この世で、信仰のために迫害を受け、困難な立場に陥ったとしても、
神が彼らの味方であるからです。神と敵対するなら、この世でどれほど力ある権力も支配も敗北するからです。神は、最後には、ご自分に逆らう者たちを滅ぼし、ご自分の民に勝利を与えられるからです。

考察2 神の偉大な計画は「御国」の完成。10-14,21
御国に入れられることを期待して、信仰の歩みを進めよう。

 考察2-1神は必ず御国を実現させる。御国を待ち望んで生きよう。

神の最終的な計画は、キリストを王とする国を実現させることです。
私たちは、将来必ず現れる「神の国」の住民になるために救われました。
この世には、悪が満ちており、神を知ろうとしない人たちは、この世の宝を楽しんでいます。
しかし、神に救われた人は、この世の終わりがあり、罪を楽しむ人々がさばかれる時が来ることを知っています。ですから、彼らが楽しんでいても、自分たちの生き方をばかにしても、気にすることはありません。

考察2-2救われた人の人生には多くの苦難がある。
しかし、天国で与えられる安息を期待して、困難に耐え抜こう。

神に忠実に生きようとするなら、この世で多くの困難を経験しなければならないでしょう。しかし、近い将来に、自分は天国に入り、そこで想像もできないほどのすばらしい生活をすることになると、今から喜んで、信仰の歩みを進めていきましょう。神の偉大な力が自分を救ったこと、そして最後まで自分を導いていることを知って勇敢に前進し続けましょう。

御国の実現を大いに期待して、神から与えられた歩みを進めて行きましょう。

考察3 常識や理性を用いて、神を正しく知ることはできない。
私たちは、神についての正しい知識を「みことば」と「御霊」によって知らなければならない。17-19

救われた人にとって、神を知ることは、大きな喜びである。

自分の救いについて神がなされたこと、神の偉大さ、全知、全能、将来に約束されている恵みなど、神を知ることは、大きな喜びです。それらを知るために、私たちは聖書を読まなければなりません。

聖霊が、聖書のことばを理解させてくださる。

しかし、聖書を理解するために、私たちは聖霊の解き明かしを必要とします。
なぜなら、聖書は、使徒たちが、神の霊「聖霊」にうながされて書かれたものだからです。救われた人には聖霊が内住しています。信者は、聖霊に、さらに深く奥義を知らせてくださるように祈りつつ読み進めるべきです。
聖霊の助けがなければ本当に理解できないけれども、未信者が聖書を読むことが無駄だといっているのではありません。彼らが、みことばにふれる機会を通して、聖霊が彼らの心の目を開き、彼らがみことばを愛して、救われるように、神は定めておられるからです。

考察4 教会の最高の権威はキリスト。教会は、キリストの支配に服従しなければならない。22-23

 考察4-1教会がキリストに従わなければ、御心は実現できない。

キリストは教会で最高の権威を持つお方です。
教会は、キリストの命令に従い、みこころを実現するために存在します。
この節では、教会が「キリストのからだ」にたとえられています。キリストが頭で、信者は手足です。
私たちは頭で考えたことを、体を使って実行します。
もし頭で考えたことを、体が行わなければ、意志したことは実現できません。
同様に、教会がキリストに従わなければ、神の御心は実現されません。

考察4―2教会が御心をなすためには、信者が、主に服従する必要がある。

ところで、私たちの教会にキリストの支配は満ちているでしょうか。
信者たちがキリストに服従しないために、教会が御心を実現できなくなってはいないでしょうか。

神はそれぞれの信者に賜物を与えておられます。
教会は、これらの賜物を組み合わせて、神のみこころを行うための器官です。
ですから、教会が主の御心を実行するためには、信者1人1人がキリストに従っていなければなりません。

考察4-3教会が御心をなすためには、監督者が主に従順でなければならない。

教会の長老たちは、御心をなすために、信者たちの賜物を組み合わせて働かせる責任を負っています。
そのため、教会の監督者である牧師や長老、役員が、主に従った判断をしているかどうかは、非常に重要です。
彼らの主への従順によって、教会が神の御心を実現できるかどうかが決まるからです。

教会はキリストが最高の権威を持っておられ、キリストの支配が満ちているべき場所です。そのためには、各信者のうちに、信者の共同体である教会のうちに、キリストの支配が満ち満ちていなければなりません。

私たちは、キリストのからだなる教会を建て上げる責任を負っています。
このことを真剣に受けとめて、それぞれに与えられた責任を忠実に果たしていきたいと思います。

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今から約2000年前、キリストは預言されていた通り、死んで3日後に復活し、ご自身が神であることを証明されました。神がおられるのですから、その方を無視して生きることは、神があなたを造られた目的を知らずに生きることを意味します。どうか、神を知り、神に生かされる確かな人生を歩んでください。そのために、聖書を学び、神について、自分について、知ることを始めませんか?