- 1 Ⅱ ヨセフの生涯、 1 兄たちに憎まれたヨセフ 37章
- 2 2 エジプトに奴隷として売られるヨセフ 37章12~
- 3 3 王の侍従長歩ポティファルの家で働くヨセフ 37,39章
- 4 4 監獄の中でのヨセフ。王の献酌官の夢を解き明かす。 40章
- 5 5 パロの夢の解き明かしをするヨセフ 41章
- 6 6 エジプトに食料を買いに来た兄たちとの再会 42、43章
- 7 7 兄弟たちと和解し、全家族をエジプトで養うヨセフ 45、46章
- 8 8 ヨセフは、全家族をエジプトに住まわせた
- 9 9 ヤコブはエジプトに向けて出発した 46章
- 10 10 ヨセフのすぐれた統治 47章13~
- 11 11 ヤコブはヨセフの子に相続権を与える、弟を兄よりも祝福する48章
- 12 12 ヤコブの死 兄弟たちにこれから起こることを告げた 49章
- 13 13 ヨセフの死
- 14 Ⅰ ヨセフの生涯に現わされた神の真理
Ⅱ ヨセフの生涯、
1 兄たちに憎まれたヨセフ 37章
イスラエルはだれよりも、彼の息子たちのだれよりもヨセフを愛していた。・・・・彼はヨセフに、そでつきの長服を作ってやった。彼の兄弟たちは、父がだれよりも彼を愛しているのを見て、彼を憎み、彼と穏やかに話すことができなかった。37:3,4
- ヨセフは夢を見た。そのことを兄たちに話した。37:5~10
兄たちの束が自分の束におじきした。月と11の星が自分を拝んだ。 - 兄たちはますます、ヨセフを憎んだ。父もヨセフをしかった。
- しかし、父は、これは主の啓示にちがいないと思っていた。
兄たちは彼をねたんだが、父はこのことを心に留めていた。37:11
2 エジプトに奴隷として売られるヨセフ 37章12~
- 兄たちは、羊の群れを飼うためにシェケム出かけた。
ヤコブは、兄たちの様子を知るために、ヨセフを送り出す。37:14 - 兄たちは、ヨセフをが来るのを見て、彼を穴に投げ入れ殺そうとする。37:18~
しかし、ルベンは反対した。37:21
彼らが食事をしていると、商隊が見えた。 - ユダが「彼をイシュマエル人に売ろう」と言い出した。37:25~
彼らは銀20枚でヨセフを打った。ヨセフはエジプトに連れていかれた。37:28
ルベンが帰ってみると、穴にヨセフがいなかった。37:29 - 彼らは、ヤコブに「ヨセフが獣に殺された」とウソをついた。37:31~
3 王の侍従長歩ポティファルの家で働くヨセフ 37,39章
主がヨセフとともにおられたので、彼は幸運な人となり、そのエジプト人の主人の家にいた。彼の主人は、主が彼とともにおられ、主が彼のすることすべてを成功させてくださるのを見た。39:2,3
- 主人はヨセフに全財産の管理を任せるようになる。家は栄えた。39:4
- ヨセフは体格もよく美男子であった。主人の妻が彼に言い寄る。
妻の誘いを断った彼は、無実の罪を着せられ、牢に入れられた。39:20
4 監獄の中でのヨセフ。王の献酌官の夢を解き明かす。 40章
しかし、主はヨセフとともにおられ、彼に恵みを施し、監獄の長の心にかなうようにされた。それで監獄の長は、その監獄にいるすべての囚人をヨセフの手にゆだねた。ヨセフはそこでなされるすべてのことを管理するようになった。監獄の長は、ヨセフの手に任せたことについては何も干渉しなかった。それは主が彼とともにおられ、彼が何をしても、主がそれを成功させてくださったからで ある。39:21,22
- ヨセフが入れられたのは、王に罪を犯した者が入る牢獄であった。39:20
- ある日、王の献酌官と調理官が牢に入れられた。ヨセフは彼らの夢の解き明かしをする。
ヨセフの言った通り、3日後に献酌官は戻され、調理官は殺された。 - 献酌官に、あなたが戻されたら、自分を助けて欲しいとお願いする40:14
しかし、献酌官はヨセフのことを忘れてしまった。40:23
5 パロの夢の解き明かしをするヨセフ 41章
- それから2年後、エジプトの王パロが夢を見る。41:1
良く肥えた7頭の牛を、後から来た痩せ細った7頭の牛が食い尽くした。
東風に焼けた7つの穂が、豊かに肥えた7つの穂をのみこんだ。
王は、夢を解き明かすことが出来る者を探したが、見つからなかった。41:8
そのとき、献酌官はヨセフのことを思い出した。41:9
ヨセフを王の前に連れてきて、解き明かしをさせた。41:14 - ヨセフはパロの夢を解き明かした。
パロ:「あなたは夢を聞いて、それを解き明かすということだが。」
ヨセフ:「わたしではありません。神がパロの繁栄を知らせてくださるのです。」41;16 - ヨセフはパロに政策を提案する。皆は、納得した。
今すぐ、エジプト全土に7年間の大豊作がある。その間に食料を保管してください。そうすれば、その後に来る7年間のききんを、生き延びることができるでしょう。41:25~ - パロはヨセフに高い位を与え、この仕事を任せた。41:39
- ヨセフは妻を持った。エジプトで2人の子供が生まれた。
パロはヨセフに、オンの祭司の娘ポテ・フェラの娘アセナテを妻に与えた。41:45
彼女は、ききんが来る前に、ふたりの子を産んだ。41:50,51
長子「マナセ」忘れる 神は私のすべての労苦と私の父の全家を忘れさせたから
次男「エフライム」実り多い 神が私の苦しみの地で私を実り多い者とされたから
6 エジプトに食料を買いに来た兄たちとの再会 42、43章
エジプトへの1日目の訪問 兄たちを悩ませるヨセフ 42:1~
- カナンの地もききんが激しく、ヤコブたちは食料がなくなった。
父はエジプトに食料があると聞いて、息子たちを送り出した。42:1
ベニヤミンは行かせなかった。ヨセフのようになってはいけないと思ったから。42:4 - エジプトに来た兄弟たちは、ヨセフと知らず、彼の前に伏し拝んだ。(夢の実現)42:6
ヨセフは、すぐにわかったが、兄たちを知らぬふりをした。42:7 - ヨセフは、彼らにスパイの容疑をかける。そしてシメオンを縛って監禁した。
自分たちがウソを言っていないことを証明するために、弟ベニヤミンを連れて来なさい。そうではければ、シメオンは解放しないと言った。42:14~ - 兄たちは、帰ってすべてを父に報告した。父は悲しんだ。
エジプトへの2回目の訪問 43:1~
- その地のききんは激しく、買ってきた食料も尽きた。
- ユダが父を説得して、ベニヤミンを連れて、エジプトに再び下った。
- ヨセフの家に招かれた。シメオンは釈放され、彼らはヨセフと食事をした。
彼らは、持ってきた贈り物をして、ヨセフを伏し拝んだ。(夢の実現)43:26
ベニヤミンの食事は他の兄弟たちより5倍の多かった。 - ヨセフは、ベニヤミンの袋の中に、自分の銀の杯を忍ばせておいた。44:2
- 彼らが帰るとき、ヨセフは再び彼らを悩ませた。44:4~
家の管理者に、彼らがヨセフの杯を盗んだと言わせた。彼らが探してみると、ベニヤミンの袋の中に杯があった。ヨセフは、ベニヤミンだけが残るが良い。他の者は帰って良いと言った。 - ユダは、ベニヤミンと父を救うために、自分が奴隷になると申し出た。
あの子がいないのを見たら、父は死んでしまうでしょう。そして、しもべどもが、あなたのしもべであるしらが頭の私たちの父を、悲しみながら、よみに下らせることになります。このしもべは私の父に、『もし私があの子をあなたのところに連れ戻さなかったら、私は永久にあなたに対して罪ある者となります。』と言って、 あの子の保証をしているのです。
ですから、どうか今、このしもべを、あの子の代わりに、あなたさまの奴隷としてとどめ、あの子を兄弟たちと帰らせてください。あの子が私といっしょでなくて、どうして私は父のところへ帰れましょう。私の父に起こるわざわいを見たくありません。44:31~3
ヨセフは、弟を売った張本人のユダが、自分の命を賭けて弟ベニヤミンを救う者に変えられた様子を見て、心を動かされた。
7 兄弟たちと和解し、全家族をエジプトで養うヨセフ 45、46章
- 自分が弟のヨセフであることを告白した。
「私はあなたがたがエジプトに売った弟のヨセフです。45:3 - ヨセフと兄たちは、和解した。
兄たちが私に悪を計ったことも、神が目的をもってなさったことであった。
今、私をここに売ったことで心を痛めたり、怒ったりしてはなりません。神はいのちを救うために、あなたがたより先に、私を遣わしてくださったのです。この二年の間、国中にききんがあったが、まだあと五年は耕すことも刈り入れることもないでしょう。それで神は私をあなたがたより先にお遣わしになりました。それは、あなたがたのために残りの者をこの地に残し、また、大いなる救いによってあなたがたを生 きながらえさせるためだったのです。
だから、今、私をここに遣わしたのは、あなたがたではなく、実に、神なのです。神は私をパロには父とし、その全家の主とし、またエジプト全土の統治者とさ れたのです。25:5~8
自分のことで、心を痛める必要はない。すべては、神の計画によって起きたこと。
神は、このききんから、あなたがたの命を救うために、私を先にエジプトに遣わした。
そのため、神は私をエジプトの統治者にされたと、ヨセフは兄弟たちに語った。
8 ヨセフは、全家族をエジプトに住まわせた
それで、あなたがたは急いで父上のところに上って行き、言ってください。『あなたの子ヨセフがこう言いました。神は私をエジプト全土の主とされました。た めらわずに私のところに下って来てください。あなたはゴシェンの地に住み、私の近くにいることになります。あなたも、あなたの子と孫、羊と牛、またあなたのものすべて。 ききんはあと五年続きますから、あなたも家族も、また、すべてあなたのものが、困ることのないように、私はあなたをそこで養いましょう。45:9~11
9 ヤコブはエジプトに向けて出発した 46章
ヤコブはエジプトに向かう途中、ベエル・シェバでいけにえを捧げた。(ここは神が最初に彼に現れた所)
すると、夜の幻の中で主はイスラエルに語られた。
すると仰せられた。「わたしは神、あなたの父の神である。エジプトに下ることを恐れるな。わたしはそこで、あなたを大いなる国民にするから。わたし自身があなたといっしょにエジプトに下り、また、わたし自身が必ずあなたを再び導き上る。ヨセフの手はあなたの目を閉じてくれるであろう。」46:3,4
イスラエルはヨセフと再会した。ヨセフは父の首にすがって泣いた。ヤコブは、この目であなたが生きているのを見たから、もう今、死んでも良いと言った。46:29;30
10 ヨセフのすぐれた統治 47章13~
- ききんが続いた
- 人々に食料を売った。エジプトに銀が集められた。
- 人々の銀がなくなった。それで、家畜で払わせた。
- 家畜がなくなったとき、土地で払わせた。エジプト全土はパロの土地になった。
- 民に種を与えて、収穫の5分の1をパロに納めさせた。
11 ヤコブはヨセフの子に相続権を与える、弟を兄よりも祝福する48章
- エフライムとマナセをヤコブの子にする48:5
- ヤコブは弟を兄より先にした。
- ヨセフにはシェケムを与えた(ディナのことで占領した地)
ヨセフは父が右手をエフライムの頭の上に置いたのを見て、それはまちがっていると思い、父の手をつかんで、それをエフライムの頭からマナセの頭へ移そうとした。ヨセフは父に言った。「父上。そうではありません。こちらが長子なのですから、あなたの右の手を、こちらの頭に置いてください。」
しかし、父は拒んで言った。「わかっている。わが子よ。私にはわかっている。彼もまた一つの民となり、また大いなる者となるであろう。しかし弟は彼よりも 大きくなり、その子孫は国々を満たすほど多くなるであろう。」
そして彼はその日、彼らを祝福して言った。「あなたがたによって、イスラエルは祝福のことばを述べる。『神があなたをエフライムやマナセのようになさるように。』」こうして、彼はエフライムをマナセの先にした。48:17~20
12 ヤコブの死 兄弟たちにこれから起こることを告げた 49章
1、ヤコブは臨終の前、兄弟たちを呼んで、これから起こることを告げた
- ルベン:長子、すぐれて力ある者。
だが水のように奔放なので(抑えがきかない、父のそばめと寝た)あなたは他をしのぐことがない=すぐれた者にはならない
歴史: ルベンは長子から退けられた。ヤコブは、ヨセフを長子にした。早い時期から、リーダーシップを失った。 - シメオン「剣」彼らはシェケムの人を虐殺した。彼らの剣は暴虐の道具。イスラエルの中でちらそう
歴史:シメオン族はユダ族に吸収された。
- レビ:
歴史:レビ族は祭司になり、イスラエル中に散らされた。彼らは土地を所有しなかった。 - ユダ:「あなたをたたえ」 王権はユダを離れず、統治者の杖はその足の間を離れることはない
歴史: ダビデから始まったイスラエル王国を、ユダ族の王が継承した。 - ゼブルン:「シドンに向く」岸辺に住みその背中はシドンに至る
- イッサカル:「たくましいロバ」 苦役を強いられる奴隷になった。
休息と快楽を愛する 楽しみのために苦役にたえる民 - ダン:「さばくであろう」 蛇、馬のかかとをかむ。これに乗る者はうしろに落ちる
狡猾な者、敵に勝つために手段を選ばない者。共に戦う時は気をつけよ。 - ガド:襲う者が彼を襲うが、彼はかえって彼らのかかとを襲う
未来の戦闘の様子を預言しているのか。 - アシュル:食物が豊か。王のごちそうを作る。
- ナフタリ:美しい子を産む。
- ヨセフ:多くの祝福
- ベニヤミン:かみ裂く狼。朝には獲物を食らい、夕には略奪したものを分ける。
これは、残酷という意味ではなく、好戦的であると理解するべき。
ヤコブはおのおのにふさわしい祝福を与えた。49:28
2、死んだら、マクペラの畑地にある墓地に葬って欲しいと遺言する。
3、彼は、天に赴くかのように死んでいった。
ヤコブは子らに命じ終わると、足を床の中に入れ、息絶えて、自分の民に加えられた。49:33
4、父の葬儀を盛大におこなった。
エジプトの家臣たち、長老たちも上って行った。7日間の葬儀を行った。
13 ヨセフの死
1、ヤコブの死後、兄弟たちはヨセフを恐れた50:15~
- 兄弟たちは、父亡き後、ヨセフが復讐するのではないかと恐れた。
- そこで彼らはヨセフにひれ伏して、あやまった。(夢の実現)
2、ヨセフは、その心配はないと彼らに答えた。
ヨセフは彼らに言った。「恐れることはありません。どうして、私が神の代わりでしょうか。あなたがたは、私に悪を計りましたが、神はそれを、良いことのための計らいとなさいました。それはきょうのようにして、多くの人々を生かしておくためでし た。
ですから、もう恐れることはありません。私は、あなたがたや、あなたがたの子どもたちを養いましょう。」こうして彼は彼らを慰め、優しく語りかけた。50:19~21
3,ヨセフは130歳で死んだ。
- 彼の死体はミイラにされ、エジプトに保管された。
- 彼は、神がカナンの地に民を戻されるとき、遺体をたずさえ上ってほしいと頼む。
ヨセフは兄弟たちに言った。「私は死のうとしている。神は必ずあなたがたを顧みて、この地からアブラハム、イサク、ヤコブに誓われた地へ上らせてくださいます。」
そうして、ヨセフはイスラエルの子らに誓わせて、「神は必ずあなたがたを顧みてくださるから、そのとき、あなたがたは私の遺体をここから携え上ってくださ い。」と言った。ヨセフは百十歳で死んだ。彼らはヨセフをエジプトでミイラにし、棺に納めた。
Ⅰ ヨセフの生涯に現わされた神の真理
1、神は、苦難を通して人を成長させる
ヨセフについて
ヨセフは、自己満足的で、無防備でした。もし、彼が人間の罪の恐ろしさについて知っていれば、「兄たちが自分を拝む夢の話」を話すことも、自分だけが長い袖の服を着ることも、ひかえることができたはずです。しかし、彼は、自分が兄たちより、父や神に愛されていることに有頂天になり、自慢をしてしまいました。そのため、彼は兄たちの憎しみを買い、エジプトに奴隷として売られてしまいます。
パロに認められるまでの、苦難の13年間(売られたのが17歳ごろ、パロのために働いたのが30歳から)を通して、彼は訓練を受けました。しかし、主も、彼とともにあり、彼がすること全てを成功させてくださいました。そのおかげで、どこに行っても、彼は主人に信頼され、大切な仕事を任されました。
この間に、実務においても、人格においても、人を導くことができる器に成長しました。兄たちの悪行については、主が自分をエジプトに先に送るために、そうさせたのだと言うことが出来ました。そして、全家族の命を救い養うことができました。
ユダについて
ユダは、「ヨセフを売ろう」と言い出した張本人でした。彼は、エジプトに行くまで、ヨセフのことを忘れていたかもしれません。
しかし、エジプトに下ったとき、ヨセフとのやりとりの中で、自分の心を探られる経験をします。主が、自分の犯した罪を責めておられると、思い知らされたからです。
2度目のエジプト訪問の際には、弟ベニヤミンの命を救うため、自分が身代わりに奴隷になるとヨセフに申し出ています。彼は必死になって、父のために弟を帰して欲しいと訴えました。その痛切な思いはヨセフに伝わりました。ヨセフは、自分の素性を明かし、家族全員をエジプトで養うと言ってくれました。
彼は、自分の罪に打ちのめされ、苦悩することを通して変えられました。弟を奴隷に売っても平気だった彼が、家族を守るために自分の命を差犠牲に差し出す者に変えられたのです。
2、ヤコブの遺言は、後にイスラエルに成就した。49章
ヤコブは、ヨセフとユダを大いに祝福した。
1、マナセ、エフライム、ユダは、イスラエルの地に広い領土を得た。
ヤコブは、長男ルベンを退け、ヨセフを長子にしました。 ヨセフの子エフライムとマナセを、自分の子とし、相続権を与えました。
ヤコブの死後、カナンの地を占領して、12部族に領土が分けられたとき、マナセは、ヨルダン川の東と西の両岸に、広大な領土が与えられ、エフライムはイスラルの中心部に領土を与えられています。ユダは南部に、シメオンを取り込んで大きく領土が広がっています。イスラエルの領土は、この3部族でほぼ占められています。
2、ユダの家系の者が、代々王になった。
ヤコブは、ユダから王が絶えない預言しました。その預言の通り、ダビデから始まった王位は、王国滅亡の時まで、ユダの家系から輩出され続けました。
3、ヨセフの人生は、神の摂理によって導かれた
摂理とは何か?
この世に偶然はない。全ての出来事は、神によって起こされている。神の計画や目的を実現するために起きる。神の許可なしには、何事も起こらない。たとえ、人間が悪を計画し実行しようとしても、神の御心でないなら、実行できないか、あるいは失敗に終わる。
神は、はじめから、ヨセフを長子にすることを定めておられた。
神は、長く激しいききんが起きることを知っておられ、ヨセフによって、彼の家族を救うことを定めておられた。
ヨセフの人生に起きた事は、偶然の積み重ねではありません。全ては、神が起こされたことした。それは、ご自身があらかじめ計画されたことを実現するためでした。その証拠に、全てのことが絶妙なタイミングで起きています。
もし、ルベンがその場にいたら、ヨセフは売られていなかったでしょう。
もし、ヨセフが王の侍従長に売られていなければ、ポテファルの妻がヨセフに言い寄ることもなく、彼は王の囚人が入る牢獄に入れられることはなかったのです。
もし、王の献酌官が罪を犯さなければ、ヨセフのいる牢に入ることもなく、ヨセフに夢の解き明かしをされることもなかったのです。
もし、エジプトの王パロが不吉な夢を見なければ、王はヨセフを呼び出すこともなければ、彼を徴用することもなかったのです。
もし、ヨセフが食料を売る役目をしていなければ、彼は兄弟たちに再会することもなく、ヤコブたち一家はききんで死んでいたかもしれないのです。
どれ1つ欠けたとしても、兄弟の再会は実現しません。これは、偶然の積み重ねで起きることではありません。
神が全てを起こされた、もう1つの証拠として、主がヨセフに、未来を啓示していることがあげられます。彼が兄弟の中で、2番目に年下の弟だったにもかかわらず、主は、夢で、兄たちが彼を伏し拝む姿を、2度も見せました。2度見せるということは、このことが確かに起こるということを意味します。
ヨセフは、この夢に力を得て、状況が悪くなる中にあっても、主に期待して耐え抜いたと思われます。「主が、いつかこの夢を実現される」、彼はそう信じたと思います。そして、その夢は、その通り実現しました。
彼に起きた出来事は、偶然ではなく、神のご計画にもとづいて、神が起こされたことでした。そして、最後には、彼のための幸いな計画を、実現してくださいました。
摂理を知ることは、信者に大きな益をもたらす
ヨセフの生涯から、人生には偶然はないことを学びました。私たちの人生にも偶然はありません。すべて私たちに起きることは、神が目的をもって起こされています。このことを知ることは、信者にとって絶大な益があります。
人生は順調な時ばかりではありません。思いがけない問題が生じたり、どうしてこんなことが起きるのかと思うような出来事が起きるものです。
そのようなとき、「このことも主が目的をもって起こされているのだ」と、ただ自分の不幸を嘆くだけではなく、主に心を向けることが大切です。たとえ、主のご計画やご意志がわからなくても、主を信じ、主に罪を犯すことを避けなければなりません。
ヨセフは、異教徒の主人たちのために良くに働き、彼らを富ませました。そうであるのに、彼は、無実の罪で牢屋に入れられることになりました。普通だったら、人をのろい神をのろって、自暴自棄になるところです。しかし、彼はあくまで主に信頼し、主をのろうことはありませんでした。主も、彼とともにあって、彼がすること全てを成功させてくださいました。そのため、彼はどこにいっても、主人に愛され、重く用いられたのです。
最後には、主は彼の苦難の意味を教えてくださいました。彼がエジプトに送られた目的は、「将来、カナン全土に起きるきびしいききんから、全家族の命を守るためであった」ということでした。そして、彼の希望は、いつか必ず主は、民をエジプトからカナンの地に戻してくださるということでした。
摂理を知ることによって、私たちは人生の困難に耐える力を得ます。また、困難の意味を知り、困難を通して成長し、困難の中にあって希望を持つことができます。
神の摂理の視点から、自分の人生を見ていきましょう。ヨセフの生涯のように、最悪の出来事から最善のことが生まれることもあるのです。また、最善と思っていたことが、最悪の原因になることもあります。
人生が順調でも逆境でも、主の良き計画を信じ、自分に割り当てられた人々の益をはかっていきましょう。
ヨセフの上に、主の幸いな計画が実現し、彼が自分の苦しみの意味がわかったように、いつの日か必ず、主は、あなたの上に、ご自身の計画を成就し、あなたの苦しみの意味を教えてくれることでしょう。